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『剣と魔法の税金対策 全6巻』著:SOW イラスト:三弥カズトモ

なんとなく日本の税制のに似た仕組みで諸々が運営されている世界で、魔族の魔王と人間の勇者、そして主人公の「ゼイリシ」クゥが手を携え、次々と巻き起こる税金にまつわるトラブルに立ち向かう話。全六巻なので場所も取らず、お財布にも優しい。

おそらく橙乃ままれの「まおゆう」あたりを始祖とする、「勇者による魔王討伐のその後」に「ラスボスを倒しても解決しない、本当の世界の問題に立ち向かう」作品の1つで、物語自体読んでいて非常に面白かった。個人的すごくハマるジャンルの作品なので……。

本シリーズはファンタジー作品として面白いだけでなく、世界設定や物語のネタ元になっている日本の税制についての下調べがしっかり(少なくとも自分が理解している範囲では)していてちょっと頭がよくなった気になり、何ならそこから掘り下げることで税に対するリテラシーが向上して現実の生活にも役立つ良書である。本書を読んでいると、給与明細を見て毎回ため息をつく税金(実際のところ高いのは所得税でも住民税でもなく、厚生年金なら会社負担分含めて記載分の2倍払っている社会保険料なのだが)も、まぁ捨てたものではないのだなと思えてくること請け合いである。あるいは、本書の中でチクチク指摘されている日本の「失政」に対して、ムカッ腹が立つ人もいるかもしれない。ちょっとしたボタンの掛け違いで、ここまでひどいことにはなっていなかったんじゃないかと……。

剣と魔法の税金対策

『ロード・エルメロイII世の事件簿 case.冠位決議(中)』著三田誠 挿画:坂本みねぢ

本作も気づけば数年に渡って出続けているわけですが、ついに最初の事件から主人公の宿敵として暗躍し続けたドクター・ハートレスの真意が明らかになります。

本シリーズ、特に途中からはこれはどうやって着地点に至るのか、などと恥ずかしながら物語を読めてない感じだったのですが、今巻にてやっとこ理解が追いついたというか、ロード・エルメロイII世あるいはウェイバー・ベルベットの物語は、結局そこなんだよなと思わせる展開になりました。

冬木の聖杯を解体するエルメロイII世と、イスカンダルに未練たっぷりの本シリーズ冒頭のエルメロイII世を見比べると、世界のためにヒロイン(イスカンダル)との縁を断ち切るギャルゲーの主人公的なエルメロイII世が見えてきてなかなかエモいわけですけど、『Fate/Stay Night』から見たとき、『Fate/Zero』とはまた違った外伝として読めるのかしら?などと思ったりします。(先の展開が予想していない方向に行く可能性もありますが。)Zeroからすると、ヒロイン(ウェイバー)が主人公になる外伝みたいでもあり……。

キャラクターの造形として、自己の適性や年齢なりに成し遂げてきたキャリアと、自分の理想像にギャップがある自己受容度の低さがエルメロイII世の魅力なので、結局そこは崩れないんだろうと思っていますけど、一皮剥ける(のであろう)エルメロイII世の姿がとても楽しみです。

『ロード・エルメロイII世の事件簿 6 case.アトラスの契約』著:三田誠 挿画:坂本みねぢ

本作も6巻目。夏と冬のコミケで発売ですから、3年経ったのか。

今回の舞台はヒロイン?のグレイの故郷ウェールズにあるブラックモアの墓地。グレイは本作の最初からエルメロイII世の内弟子として登場しますが、2人の出会いには元々いささかの謎を孕んでいた模様。その出会いの謎を解く、というのが本作の主題。なんでグレイはあんな能力を持っているのか(一応グレイの手元では明らかになっていますが、グレイの先祖が何を意図していたのかはまだ明確にはなっていないですよね)が幾ばくかは明らかになる模様。前巻で先代の現代魔術科のロードが黒幕っぽいのでそこにどうアプローチするのかが本作のグランドオーダーなんですかね。

表紙に描かれているゲストキャラが大変懐かしい。私がType-Moon作品に出会ったのはMELTY-BLOODからだったんですよね……。ブラックモアって名前も確か月姫読本(同人誌版は持っていないですが)に載っていたんではなかったか。全体的に月姫っぽいキャラクターが出てくるエピソードっぽいです。後書きを見るに、奈須きのこさんとType-Moonも月姫Rをちゃんと作ってはいるみたいです。Fate/Grand Orderで相当稼いでいるでしょうから、きっと古参ファンも納得の出来になるのでしょう。個人的には『魔法使いの夜』の2話と3話をぜひお願いしたい。ホント楽しみにしているんで生きているうちにプレイしたいです。

FGOで間口が広がったType-Moonの世界(英語で言うとNasuverse)、多数の作品にまたがるその設定をのり付けする作品。FGOで触れたあなたも、月姫以来の古参のファンも、読んでみてはいかがでしょうか?

過去の感想はこちら

『マージナル・オペレーション改 02』著:芝村裕吏、挿画:しずまよしのり

一時期ニートをやっていて、食うに困って民間軍事会社(PMC)に入って中東で指揮官の適性に目覚め、そこで出会った少年兵初期メンバーとして傭兵稼業を始めた主人公新田良太の話。舞台は中国。語学の勉強に士官学校で軍事用ドローンの勉強。勉強だけではしょうがない。覚えたことは使わなくては意味がない。

同一世界の前日譚『遙か凍土のカナン』から登場しているコサックのパウロー(同名の人物だが、作中で100年近く時間が経っているはずなので、なんかファンタジーなギミックがないと子孫?ということになるはず)が意味不明。というか、シベリア共和国がいったいどんな意図で主人公を取り扱っているのかが全般的にサッパリ分からない。この辺が今後明らかになるのかもよく分かりません。それを言うとそもそもジニ、ジブリールも同名のキャラクターが登場しているので、どういうこと?って感じですが。やっぱり本当は怖いガンパレード・マーチ的な裏設定があるのでしょうか?

しかし、主人公どこでそんなこと勉強したの?というような立ち回り。基本的な立ち回りはPMC辺りで勉強したのと、読者の見えないところで色々と修羅場をくぐっているのでしょうが……。

マージナル・オペレーションシリーズの感想

遙か凍土のカナンの感想

『黒剣のクロニカ 2』 著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

伝説のアトランティス大陸が沈んで多島海になった後の古代地中海世界のような世界が舞台のファンタジー。多くの登場人物はダリドと呼ばれる獣人の姿、あるいは動植物への変身能力と、ダリスと呼ばれる超能力を持っている。そんな世界で、都市国家コフの黒剣家の末弟で、そこの当主に奴隷にされた母から生まれたフランが兄弟に復讐を誓う。脇を固めるは都市国家ヤニアの小百合家姉妹、人馬のイルケとフクロウになれるオルドネー。あと多数のフレンズ※達(概ね間違ってない)。次男のオウメスと戦う本巻、フラン以上の知将とされる兄とフランはいかに戦うのでしょうか?

衣料品が貴重なため、体を動かすときは古代オリンピックよろしく裸で(男女問わず)、「脱衣は市民の権利」という様な価値観もあり、登場人物はとにかく脱ぎます。挿画の数が限られるのが一部の人には残念か(ノリは完全に「カメラもっと下!」)。また、ダリドのおかげでみんなだいたい獣人か、動物に変身可能となっているため、2017年初頭風に言えば「性的なけものフレンズ」って感じです(「君は~が得意なフレンズなんだね!」※)。また、作中の某ヒロインとなんともマニアックなプレイがとり行われるされることになります。現代日本人からすると常識外れなんですけど、食料が貴重な作品世界の中では合理的?なのかなぁと思います。本作自体は架空の世界の話なんですが、歴史、民俗を学ぶ面白さは、世界にはこんな我々の常識とは違う常識の元に暮らしている人たちがいる、しかも相手の立場に立てばそれなりに合理的、というところだよなぁと思います。前作の『遙か凍土のカナン』もそんな感じでした。物語的には最後こそ『ソードマスターヤマト』的な感じでしたが……。

ということで、想像力豊かで、獣娘がイケるフレンズには大推薦、もっと手広くイケるようになりたいフレンズも、挑戦してみる価値のある作品です。え、ぼくがどんなフレンズかって?本作のおかげで、人馬かわいいなと思い始めました。

※けものフレンズ:2017年初頭、アニメファンの目の前に彗星のごとく現れた大ヒット作(ダークホース)である。サービス終了したスマホゲームが原作となっている作品で、実在の動物を擬美少女化した「フレンズ」達が、おそらく「ホモ・サピエンス(現生人類)」のフレンズ、あるいはゲームの「プレーヤー」である「かばんちゃん」としっちゃかめっちゃかしてもなかよしな物語である(ヒロインはサーバルキャットのフレンズ「サーバルちゃん」)。一人一人?のフレンズの個性を認める作品全体の寛容さが厳しい渡世に荒んだアニメファンの感情を揺さぶり、作品の第一印象からすると思いの外巧妙でシリアスな伏線が耳目をわしづかみにした。

  

『マージナル・オペレーション改 01』著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

自分以外にあまりこのシリーズについて語っている人を見たことがないのですが、4本の外伝を挟んで新シリーズ始動です。相変わらずミャンマーの山奥でイチャイチャやいのやいのやっているところに、アラタのご先祖様が作ったシベリア共和国……ではなく中国に請われてジブリールと共に一路北朝鮮を目指すことになります(後書きにしかでてこなかった「アラタの失踪」というやつだそう)。

はるカナの登場人物と同名の人たちが出てくるわけですが、『空白の一年』で語られたシベリア国との因縁がどのように語られるんでしょうね?「やがて去る子どもたちの国」は未だ道半ばなわけですが、シベリア国の建国時代のようにはきっと行かないはずで、どういう風に話が落ちるのか割と楽しみです。しかし、主人公とはいえ秋田の新田家はすごい家系ですよね。

とはいえお話は始まったばかり。今後作品世界の情勢がかなり明らかになりそうな感じですが、シベリア共和国が現代ではどうなっているのか、非常に興味があるところです。

『黒剣のクロニカ 01』著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

マジオペの外伝と、はるカナが終了して、マジオペの続編とともに始まった新シリーズ。古代の地中海世界(ローマとかギリシャとか)っぽい世界でのファンタジー。アトランティス大陸と、そこにあった高度な文明が海中に没した後の架空の多島海世界が舞台のようで、多数の小さな?島にある都市国家が覇を争う時代に、ある都市国家「コフ」で奴隷の母と、権力者「黒剣(くろがね)家」の父との間に生まれた少年「フラン」の物語。ヒロインは隣の都市国家「ヤニア」の貴族の娘、人馬の「リルケ」と人間の「オルドネー」、あと多数?そんなフランがヒロインたちと出会い、奴隷の子として蔑まれる身から身を立てて、多島海世界に覇を唱える年代記(クロニカ:クロニクル?)なんでしょう。

古代のギリシャとかローマとかをベースにした衣服とか裸体に関する考え方(布が貴重なので運動や戦争は裸で行う)から主人公やヒロインがポンポン脱ぐんですが、その割に恥ずかしがるというのが新機軸が個人的には新鮮でした。全体的に地中海岸のヌーディストビーチ(実際にあるのか知りませんが)のような、開放感を感じるお話。古代地中海世界の理解という意味ではちょっと前に読んだ『奴隷のしつけ方』は割と助けになっているのかななどと思ったりします。

著者の芝村さん曰く「少年」の話だそうですが、かつて少年だった自分からすると、なんとなくフランの物言いには思い当たる節を感じなくもありません。女性が主人公を見てどういう風に思うのかはちょっと興味あります。

キャラクターデザインのしずまよしのりさん曰く、リルケは二重臓器にならないように馬体の方はスリムとのこと。腸とかはほとんど入っていなくて、ほとんど足の延長みたいな感じなんでしょうか?ちなみに性器は四足動物と同じ感じについてるらしいですが、トイレどうしてるんでしょうね(『セントールの悩み』を読んで以来,その辺にうるさい)。古代の地中海世界っぽく性には奔放ですが、性的嗜好に人馬を含むのはかなり特殊な性癖とされているらしいです。ただまぁ、有蹄動物のスリムな足にエロスを感じるのは手塚治虫大先生を考えると特殊ではありますが、不思議ではないような気もします。ちなみにリルケが人馬な理由は、読んでのお楽しみということで。

 

 

『紫色のクオリア』著:うえお久光 挿画:綱島志朗

なぜか人間がロボットに見える少女毬井(まりい)ゆかり、彼女からすると究極の「汎」用型ロボットに見えるボーイッシュな少女波濤学(はとうまなぶ)。この2人の少女と、ゆかりの幼なじみの天条七美(てんじょうななみ)、ジョウントという組織から来たという天才少女アリス・フォイル。登場人物はこの4人で、この4人が仲良くなるまでの気の遠くなるような長い時間の話……読者が観測する作中の時間では。そう、日本のオタクカルチャーにはよくある話ですが、出てくるのが女の子というだけで、本作はSFの白眉です。それも、銀河英雄伝説のような宇宙船がドンパチやらないタイプの。仕掛けがよくできているだけでなく、物語としてのペース配分、そして最後の種明かしにいたるまで、奇跡的なバランスで名作として成立しています。こればっかりは読めという感じ。

某白饅頭の人が傑作と言っていた一作。名前は聞いたことがあったものの、著者がうえお久光先生で驚きました。オタクの履歴書では書いてないんですが、ほぼ最初に読んだライトノベルは、うえお久光先生の『悪魔のミカタ』でした(しかも2巻)。あと、綱島志朗さんと言えばなぜか女の子がレイプされそうになるロボットマンガ、『ジンキ・エクステンド』の作者です。これも大学時代に読んでました。ということで、本作を手に取り、はからずも昔を懐かしむことになりました。

SFライトノベルの、そして単巻で完結するライトノベルとしてとてもよくできていて、とても面白い作品。超オススメです。本作の元ネタとなる、同じような仕掛けをあつかったいくつか著名なSF作品があるそうなのですが、蒙昧なのでまだ読んだことがないのです。近いうちに読んでみようと思います。
 

『御霊セラピスト印旛相模の世直し研修』著:浅生楽 挿画:小宮国春

ポケモンGOでスマホ片手に徘徊もとい、散歩をする人が世界的に増えている2016年の夏ですが、ブラタモリが地理学会から表彰されたのと相まって世はにわかに散歩ブームと言わんばかりです。カメラもって気になる風景を撮り歩いても、史跡を辿っても、町歩きは楽しいものです。

本作は大学4年生で、他人の相談に乗るのが得意なセラピスト性質の女性、印旛相模(いんばさがみ)が平将門の御霊(ごりょう)、将門の上司で特殊な育ち方をした巫女、川久五月(かわくさつき)と共に、関東平野を流れる川の周辺で巻き起こる様々な霊的なトラブルを解決するというお話。

著者曰く、いろいろな側面を持つ作品だそうですが、東京平野、武蔵野台地の各地の地勢、歴史が紹介されるため、私にとっては完全にブラタモリでした。ちなみに日本史はほとんど忘れてしまい、東国武士ネタはサッパリでした平将門くらいは分かるけど他の歴史上の登場人物は某窃視狂くらいしか分かりませんでした。しかし、武士って発想は完全にヤンキーですね。日本社会が芸能界を始めヤンキー、ヤクザ的なものだと言われるとそうかもしれませんが。

(特に人生が上手くいっていない)人の心の持ちようや、カルト宗教同然の洗脳手法で人から労働力を搾取するブラック企業の有様、1995年のオウムの同時多発テロ事件以来、日本社会の一般的な感覚として宗教を忌避する人が増えて、翻ってこの世にカルト宗教的なものが蔓延してしまったという世相分析などは、個人的には割と「そうだよなぁ」と思うところがありました。本当に、今の日本社会のミクロ的にもマクロ的にもなんとなく居心地が悪い感じは何とかならないもんですかねぇ。

本作の著者の前作は生活を物理的に効率化、改善するライフハック紹介小説だったわけですが、「叶うかどうかは別として、何かを望むこと」自体はその人の勝手(意訳)など、固定観念でこわばっている肩がすこし緩みそうな考え方がちりばめられており、本作は楽しく生きるための心持ちについての示唆に富んでいるように思います。個人的な実感ではありますが、自分の「望み」とか「欲」を自覚することは本当に大切なことです。幸福、満足、あるいは諦めの基準になるものですから。ちなみに自分の「望み」が分からない人は、とりあえず「今夜は〜が食べたいな」とか、そういう小さいことから自分の内なる欲求に従う訓練をするのがいいのではないかと思っています。

色々雑ぱくに書いてきましたが、現代の世相と日本史を上手くミックスして調理したやや高年齢層向けライトノベルとして普通に面白い作品です(とはいえ予備知識が足りなさすぎると楽しめなさそうではある)。物理的な接触はありませんが、相模と五月のちょっと親密な関係もありますので、お好きな方はどうぞ。

 

『遙か凍土のカナン 7 旅の終わり』著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

なんだかんだ言ってずっと感想を書いてきた本シリーズもついに最終巻です。

さて、日露戦争を生き残った元帝国陸軍軍人新田良造は長い旅の果てに、今は亡きコサックの姫オレーナのためにシベリアに凍土のカナンを作るという大望を果たすことができるのでしょうか?マジオペによるとどうも良造が作った国は「シベリア共和国」と呼ばれているようですが、結局マジオペ内で赤い日本と呼ばれる「シベリア共和国」はどのようにして現在まで残るのでしょうか?

マージナル・オペレーションと本作の舞台となっている世界が、どうも我々の暮らすこの世界とは少し異なる歴史を辿って、少し異なる状況にある世界だということが分かってきたわけですが、本作はまさに「空白の一年 下」と対になるというか両作の橋渡しになっている作品です。

表紙になっているので分かると思いますが、オレーナ、予想通り生きております。子どもも無事です。あと、空白の一年で出てきたヨシフさんは、スターリンの方ではなく、良造の孫にあたるヨシフさんでした。一応良造とオレーナの子ども、そしてオレーナの子どもの配偶者(小ヨシフの片親)はだれか?は一応本書を読んでくださいということで。そういえばマジオペのアラタは結局良造の直系なのかの謎も一応解けたような解けないような。そういえばマジオペの最後の方で出てきた、アラタに異常な執着を示していた中国の指揮官も関係者の末裔なんですかね?

ただ、文章がやや淡泊というか、特に後半に行けば行くほど叙事的な感じになっていくのが残念。主人公の周辺を描写すると、確かにあんな感じなのかもしれませんが。

歳をとったのか勉強の蓄積が閾値を超えたのか、現実の歴史が面白いなぁと思い始めまして、そういう意味で丹念な資料収集と取材を下敷きとしている本作を通じて、なかなか旅行に行かない(現在は残念ながら危なくて行けないような土地も含めて)ユーラシア大陸の奥地を本作で堪能できたのはとても良かったです。特に3巻辺りの、野営のシーンは世界の広さと歴史の深さを感じる良いシーンだったなぁと思っています。歴史のifを描く作品だったわけですが、私程度の浅薄な知識ではまぁ気持ちよく騙された感じです。シベリア出兵なんかの事情は本当に名前しかしらんので、現実の歴史を漁ってみたいなぁと思う次第。

ということで芝村さん、マジオペの新シリーズ楽しみにしています。