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『黒剣のクロニカ 01』著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

マジオペの外伝と、はるカナが終了して、マジオペの続編とともに始まった新シリーズ。古代の地中海世界(ローマとかギリシャとか)っぽい世界でのファンタジー。アトランティス大陸と、そこにあった高度な文明が海中に没した後の架空の多島海世界が舞台のようで、多数の小さな?島にある都市国家が覇を争う時代に、ある都市国家「コフ」で奴隷の母と、権力者「黒剣(くろがね)家」の父との間に生まれた少年「フラン」の物語。ヒロインは隣の都市国家「ヤニア」の貴族の娘、人馬の「リルケ」と人間の「オルドネー」、あと多数?そんなフランがヒロインたちと出会い、奴隷の子として蔑まれる身から身を立てて、多島海世界に覇を唱える年代記(クロニカ:クロニクル?)なんでしょう。

古代のギリシャとかローマとかをベースにした衣服とか裸体に関する考え方(布が貴重なので運動や戦争は裸で行う)から主人公やヒロインがポンポン脱ぐんですが、その割に恥ずかしがるというのが新機軸が個人的には新鮮でした。全体的に地中海岸のヌーディストビーチ(実際にあるのか知りませんが)のような、開放感を感じるお話。古代地中海世界の理解という意味ではちょっと前に読んだ『奴隷のしつけ方』は割と助けになっているのかななどと思ったりします。

著者の芝村さん曰く「少年」の話だそうですが、かつて少年だった自分からすると、なんとなくフランの物言いには思い当たる節を感じなくもありません。女性が主人公を見てどういう風に思うのかはちょっと興味あります。

キャラクターデザインのしずまよしのりさん曰く、リルケは二重臓器にならないように馬体の方はスリムとのこと。腸とかはほとんど入っていなくて、ほとんど足の延長みたいな感じなんでしょうか?ちなみに性器は四足動物と同じ感じについてるらしいですが、トイレどうしてるんでしょうね(『セントールの悩み』を読んで以来,その辺にうるさい)。古代の地中海世界っぽく性には奔放ですが、性的嗜好に人馬を含むのはかなり特殊な性癖とされているらしいです。ただまぁ、有蹄動物のスリムな足にエロスを感じるのは手塚治虫大先生を考えると特殊ではありますが、不思議ではないような気もします。ちなみにリルケが人馬な理由は、読んでのお楽しみということで。