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『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』

総評

  • 原作ファン(筆者のことである)大満足の傑作リメイク
  • 原作の良さを大切に生かしつつ、今風の快適で便利な新要素を追加(アビリティや新しい術法)

前提(となる自分語り)

  • RPGとしても、テレビゲームとしてもほぼほぼ最初にプレイしたのがロマサガ2。いとこが持っていたのが憧れで、確かどこかの中古ゲーム店(大阪の北摂のどこかか、岐阜のどこかだったような気がする)で買ってもらった記憶がある。
  • しかしまぁいまから思えば、こんな特殊で通好みなRPGをよく買ったもので。普通ドラクエとかFFだろうと思うものだが。
  • 小学生のときにはクリアできずに、攻略本ばかり眺めていた(ゲームオーバーになるのが怖くて強いボスに挑めなかった)。陣形を取るために皇帝継承してはルドン送りにしていた。
  • 大人になってから、リマスター版を「プレイ納め」のつもりでドロップアイテム含めてコンプリートした。
  • プレイのきっかけは、声優の中村悠一さんが配信でやっていた体験版。「むむ、女性キャラクターがエッチでかわいいぞ」となってダウンロード、ハードモードが普通に歯ごたえがあり、面白かったので本編も発売日のダウンロード。
  • ちなみに一番最初に買ったのは『SDガンダム 円卓の騎士』である。

面白かった点

  • 歯ごたえ(特にハードモードの序盤)
    • 仲間・装備・技・術が少なく、後述のアビリティもないので、手持ちのデバフや防御技(パリィなど)を上手く使わないと消耗戦になりがち。基本的に景気よく技や術を使ってLP(キャラクターの生命力)を節約するか、BP(技や術で消費するポイント)を節約するかの2択を迫られるのが楽しかった。さすがに後半は強化度合いによってはヌルゲーになるが、その辺をカバーするのが難度「ロマンシング」なのかなと。スタッフはこのゲームの売りをよく分かっている。
  • 特に女性キャラクターがエッチでかわいい。
    • 3Dモデルだけでなくモーションがよくできていて、上品そうなキャラクターは動作や仕草も上品そうで凝っている。原作はいくつかのモーションパターンがあるドット絵(それでもSFCでは最高峰に近いわけだが)と、ちょっとした台詞くらいしか個々のキャラクターの情報量がないわけだが、そこを上手く解釈して現代のゲームにしていると思う。ただ、女性キャラクターは概してLP低めなので、女の子だけでパーティを組むのも特に序盤は難しく、屈強な益荒男を盾にするみたいなプレイングになった。
    • 結構元になっている人種の特徴を反映しているようなモデリングも割と良くて、結構好きなんですよね。
  • 追加要素
    • アビリティ、もともといろいろな特徴があるキャラクター(クラス)が出てきて、彼ら彼女らで5人パーティを組み、陣形で役割分担させながら戦術的に戦うのがロマサガ2なので、キャラクターをさらに特徴付ける(盾役、技攻撃、術攻撃、回復補助)のにアビリティが一役買っていてカスタマイズ性が楽しい。
    • 装備のステータスアップ要素の調整が上手い。上手く装備をカスタマイズすると専門特化してすごいダメージが出たりするので、いじりがいがある。ステータス異常防御とのトレードオフになるのも○。
    • 弱点属性の存在により、原作よりもいろんな武器や術、ひいてはいろんなキャラを使うインセンティブになる。

ちょっとどうかなと思った点

  • 戦闘時のカメラ
    • どの敵を選んでいるのかわかりにくかったり、敵の数が分かりにくかったり。
  • エンディングムービーの誤字(たいしたことではないが)
    • 帝国大学で「人材を排出」

そもそもロマサガ2の好きなところ

  • LP回復手段が乏しい
    • これ、一見不便なように見えて、作品の重要な要素である「継承」を上手く反映しているんですよね。LP回復手段が基本ないので、七英雄やモンスターとの厳しい戦いの中で仲間が死に、同じクラスの次のキャラあるいは別のキャラを補充して志を引き継ぎ戦っていく。ちょっとした要素だけど、なんかこう千年近くをかけて七英雄と戦っていくこの作品の特徴を上手く生かしてると思うんですよね。
    • こう考えると、リベサガでは戦闘不能キャラに対する全体攻撃による「死体蹴り」がなかったのは難易度を上げる要素とはいえやや残念といえるかもしれない。
  • 一見意味のなさそうな要素に含まれるリアリティ
    • 一見無意味に見える「なにか飲み物を」
      • 強大な七英雄というモンスターと戦う戦力が、(RPGにありがちだが)少人数の特殊部隊のような皇帝パーティしかいないという特殊な状況で、複数の国の上に立つバレンヌ帝国の皇帝その人が、広い領土をヒィヒィ言いながら縦横無尽に走り回るのがロマサガ2である。玉座に座るのではなく、時代劇『暴れん坊将軍』の徳川吉宗のように「自分で汗をかいて自分の足で歩き、市井の人と交わるのが好き」ということこそが、バレンヌ帝国の皇帝たる器ということなのかもしれないなぁ思わされる(継承法により能力や記憶は引き継がれるため、普通は問題になるであろう能力的な資質はこの場合問題にならないはずなので)。
      • そもそもオープニングとエンディングが最終皇帝が座っている酒場で始まる物語ですしね。
    • 「帝国大学」
      • ゲーム的にはクラス「軍師」が仲間にできて、特定のイベントをクリアするための有利な選択肢が増えるだけの施設(リベサガの場合アイテムがもらえるクイズができるが)である「帝国大学」ですが、そこで仲間になる軍師君の発言「七英雄を倒したら皇帝は退位して共和制に移行する」が割と深いんですよね。
      • 現実的に考えると、人類共通の敵である七英雄との戦争が終わったら内部分裂と場合によっては内戦に移行するのが人類文明の常な訳で、それを抑止するには中央集権的な帝政から共和制と連邦制?に移行して行くのは割と合理的で、国家を率いて戦争をするという内政シミュレーション的な要素を上手く生かしてるフレーバーだなと。

というわけで、思いがあふれだしてあれこれ書いてしまった。リメイクばかりでは文化はしぼむばかり、と思ってはいますが、名作は名作なので、それをちゃんと生かして素晴らしいゲームを作ってくださったスタッフの皆様ありがとうございました!本作の成功を受けて作られるであろうロマサガ3とサガフロンティア2のリメイク、リマスター版も大大々期待しております!

『タクティクスオウガ リボーン』 製作:スクウェア・エニックス 

結局、タクティクスオウガ的なゲームをずっと追い求めて、タクティクスオウガはここ20年以上唯一のものであった。

このゲームとの出会いは昔々小学校高学年から中学生くらいの頃。スーパーファミコンだかセガサターンだかで出たオリジナルのタクティクスオウガをゲーム雑誌かなにかで見て、美しいスリークォータービューのグラフィックに憧れていつかプレイしたいと思っていたがかなわなかった。結局、大学生になってからプレイステーションで発売されていた移植版を買ってプレイしたのだった(ディスクは誰かに貸してそのままどこに行ったか分からなくなってしまった)。後にリメイクされた「タクティクスオウガ 運命の輪」はハードを持っていなかったためにスルーして、今回さらにリメイクされたので購入してプレイした。ちなみに本シリーズの派生作品ともいえる『ファイナルファンタジータクティクス」も好きなゲームで、2年くらい前にiOS版で「やり納め(隠し要素まで含めて完全にデータをコンプリート)」した。

結論からいうと

かなり良いバランスに調整されたリメイク版で、ストーリーの重厚さは相変わらず、昔からの1ファンとしてものすごく楽しめた。

細かい感想をリスト化してみると

  • 大人になってみても、やはりストーリーは面白い。今回は特に主人公の立場(人種差別に憤る若者)に強く感情移入してプレイを始めてみたが、特に1章の最後は胃が痛くなるような選択を強いられる。
  • ゲームバランスはよく練られていてやり応えがある。色々な装備や魔法、職業が設定されているが、それぞれ戦術次第でキラリと光るものが見えてくる。
  • 特に中盤は後半ほど装備で押し切れないため、とにかくボスに集中砲火してマップをギリギリクリアするといったような綱渡りを強いられた。
  • 有名な「死者の宮殿」に潜ってレアアイテムを集めるのはやはり楽しい。本作はこの死者の宮殿を代表として後半に隠し要素や装備集めのクエストが多く設定されており、後半になっても作業感があまり出ないのは相変わらずよくできていると思う。

ちなみに現在(1周目の最終盤)の主人公である。やはりカチュア姉さんは殺せないのでロードではなくバッカニア、左手のロンバルディアは性能が低いかと思いきや片手武器なのにカウンターが付いている。右手に持っている短剣は毒を付与できる。毒は防御系スキルやレベル差を貫通して割合ダメージを与えられるので強い。仕様上右手武器で反撃するので、短剣を右手に持つことで手数を増やして毒を撒ける。毒、魅了、麻痺、沈黙、恐怖……とこのゲームはデバフが強い。

現代のゲームなのでプレイしやすいように良く練られたゲームで、かつタクティクスオウガがタクティクスオウガである点は失われていないので古参勢にもオススメだと思う。何度も移植され2回もリメイクされた作品であるということから、名作といって差し支えないので、未プレイの人も是非プレイしてみて欲しい。今時のゲームなので色々なプラットフォームで遊べるので、とりつきやすいと思う。

『デス・ストランディング』製作:Kojima Productions 監督:小島秀夫

ゲームの作り方の1つとして現実から「戦争」、「自動車の運転」、「洞窟探索」、「狩猟」といったなにがしかの要素を抽出して、それに遊びとしてのエンターテインメント性を持たせるというものがあると思う。この見方からするとこのゲームのテーマはズバリ「おつかい」あるいは「配送業」である。おつかいや荷物の配送なんて基本的には楽しいものではないとされている。しかし、かつて「潜入」という要素を「ステルスゲーム」としてゲームに仕立て上げた稀代のゲームクリエイターである小島秀夫監督は、この一見ゲームにならなさそうな現実の一部分を、面白いゲームに仕立ててみせた。それがこの「デス・ストランディング」である。

ストーリーとしては、「デス・ストランディング」と呼ばれる現象により「あの世」と近くなり、それを原因として生じた「時雨(ときう:ものや生き物を急激に劣化させる)」や「対消滅(死体やBTと呼ばれる化け物によって引き起こされる核爆発のような破壊を伴う現象)」によって人々が離ればなれになり、滅亡の危機に瀕している架空の未来のアメリカ大陸において、「伝説の配達人」である主人公「サム」がNPCから依頼される様々な配送依頼をこなしながら「カイラル通信」と呼ばれる物を送れるインターネットのようなもので街や人々をつないでいく話。

とにかく独自の設定や用語、様々なパラメータや操作テクニックが存在し、あれこれ覚えるのが大変ではあるが、それらのアイデアと現代の半導体によって生み出されるゲームの世界は、それこそ前に紹介した『SEKIRO』のようにいつまでもこの世界の中にいたいと思わせるような魅力を秘めている。SEKIROは戦闘がメインでマップをあちこち探索することはサブだが、こちらはマップをあちこち歩き回ること自体が目的となる。コケたりぶつけたりすると荷物が壊れるので、転ばないように、ぶつけないように気をつけて荷物を運ばなくてはならない訳だが、BT(化け物)や荷物を奪おうとしてくる人間(いるんです)だけでなく、天候や地形(主人公はちょっとした段差に躓き、渡河しようとすると流され、傾斜を上っていたら滑落する)といった自然環境が、主人公に対して様々な試練を課してくる。ちなみに貨幣経済が崩壊しているので金銭という形で報酬が支払われるわけではないが、NPC達は荷物を届けるととにかく大げさに褒めてくれる。「褒め方がアメリカンだなぁ」と思っていたが、そもそも「アメリカ」が舞台の話であった。

筆者は地理院地図やGoogleマップで地形を想像して楽しんだり、あちこち散歩をするのが好きだった訳だが、その「好き」の延長線上でメチャクチャ楽しめたので、その手の趣味をお持ちの方は是非プレイしてみて欲しい。きっと何時間も使ってしまうと思う。

『SEKIRO SHADOWS DIE TWICE』製作:フロム・ソフトウェア

Twitterでフォローしてるゲーマーの人が何回か話題にしていて、結局友人がプレイしている様子だったり、Vtuberがプレイしてる動画だったりを見て、ハードであるPS4含めて買ってしまいました。

ストーリーとしては戦国時代っぽい架空の時代の、日本っぽい場所の葦名の国を舞台に、不死者の主人から一度死んでも復活する力を授かった「狼」と呼ばれる忍者が、様々な勢力から狙われる主人を守ったり取り返したりしながら、主人の不死の運命からの解放を試みる話。

ジャンルとしてはアクションRPGで、体力だけでなく「体幹」を削り合う斬り合い、狼の左腕に装備された絡繰義手アクションや「弾き」と呼ばれる刀を使ったジャストガード、背後や頭上から無防備な敵や体幹を削りきった相手を一撃必殺する「忍殺」といった多様なアクションが可能。で、そもそも難易度がかなり高い、というのがポイントです。

ここからが私の感想なんですが、「ありがとうフロムソフトウェア!メチャメチャ楽しかったです!」の一言です。昔からアクションゲームが苦手で、「ゲームの練習って何?」みたいなひねくれた発想を持っていたこともあり、いわゆるアクションゲームはほとんどやったことがなかったんですが、奥さんが買ってきた「スプラトゥーン2」をきっかけに食わず嫌いが治りまして、前述の野良マーケティングの影響で今回のプレイと相成りました。

本ゲームの特徴の一つが難易度で、とにかく最初はザコにも何十回と殺されるザマ、何度「クソゲー」とコントローラーを投げたくなったことか。でも、相手をよく見て、何度もトライアルアンドエラーしてるうちに不思議と勝てるようになるんですね(勝ち方に再現性のないボスも沢山いましたが)。終盤になると似たようなボスを倒したことがあるのもあり、中ボスを初見で倒すみたいな展開も増え始め、着実な上達を感じました。その上、試行錯誤しているうちになんとなく制作者の意図というか、ゲーム上のこういう機能やアクションを使えってことか、みたいなのが見えてきて、楽しいんですよ。

バトルだけでなく、初見プレイだと特に新しいマップを探検するのも楽しい。マップのギミックデザインも巧みだし、ポリゴンも多くて風景もいかにも綺麗。単なる解像度の問題だけでなく、特に寺社や城郭の古びたの木材の質感や苔むした城壁、山道にできた水溜りの感じまで、「リアル」なんですよ。殺伐として終末観を感じる世界観なんですけど、ゲームの世界の中にいるというだけで楽しいのです。それこそ、モデルになった場所はどこか考えたくなったり、そこに行ってみたくなったりするくらいには。

ストーリーもよくできていて、特に「不死」「永遠(個人としての)」と「死」「継承(他人に受け渡すことによる持続)」の対比が素晴らしく、「殺すこと」が単なるゲームの要素ではなく、ストーリー上の重要なテーマになっていると感じました。

というわけで、今時の3Dアクションゲームをプレイしたのは2作目ですが、運のいいことにかなり充実した、そして新鮮な体験ができてしまいました。重ねて、制作者の皆さんありがとうございました。このゲーム、スッゲェ楽しかったです!DLC待ってます!