Nasuverse」タグアーカイブ

『ロード・エルメロイII世の事件簿 case.冠位決議(中)』著三田誠 挿画:坂本みねぢ

本作も気づけば数年に渡って出続けているわけですが、ついに最初の事件から主人公の宿敵として暗躍し続けたドクター・ハートレスの真意が明らかになります。

本シリーズ、特に途中からはこれはどうやって着地点に至るのか、などと恥ずかしながら物語を読めてない感じだったのですが、今巻にてやっとこ理解が追いついたというか、ロード・エルメロイII世あるいはウェイバー・ベルベットの物語は、結局そこなんだよなと思わせる展開になりました。

冬木の聖杯を解体するエルメロイII世と、イスカンダルに未練たっぷりの本シリーズ冒頭のエルメロイII世を見比べると、世界のためにヒロイン(イスカンダル)との縁を断ち切るギャルゲーの主人公的なエルメロイII世が見えてきてなかなかエモいわけですけど、『Fate/Stay Night』から見たとき、『Fate/Zero』とはまた違った外伝として読めるのかしら?などと思ったりします。(先の展開が予想していない方向に行く可能性もありますが。)Zeroからすると、ヒロイン(ウェイバー)が主人公になる外伝みたいでもあり……。

キャラクターの造形として、自己の適性や年齢なりに成し遂げてきたキャリアと、自分の理想像にギャップがある自己受容度の低さがエルメロイII世の魅力なので、結局そこは崩れないんだろうと思っていますけど、一皮剥ける(のであろう)エルメロイII世の姿がとても楽しみです。

『ロード・エルメロイII世の事件簿 6 case.アトラスの契約』著:三田誠 挿画:坂本みねぢ

本作も6巻目。夏と冬のコミケで発売ですから、3年経ったのか。

今回の舞台はヒロイン?のグレイの故郷ウェールズにあるブラックモアの墓地。グレイは本作の最初からエルメロイII世の内弟子として登場しますが、2人の出会いには元々いささかの謎を孕んでいた模様。その出会いの謎を解く、というのが本作の主題。なんでグレイはあんな能力を持っているのか(一応グレイの手元では明らかになっていますが、グレイの先祖が何を意図していたのかはまだ明確にはなっていないですよね)が幾ばくかは明らかになる模様。前巻で先代の現代魔術科のロードが黒幕っぽいのでそこにどうアプローチするのかが本作のグランドオーダーなんですかね。

表紙に描かれているゲストキャラが大変懐かしい。私がType-Moon作品に出会ったのはMELTY-BLOODからだったんですよね……。ブラックモアって名前も確か月姫読本(同人誌版は持っていないですが)に載っていたんではなかったか。全体的に月姫っぽいキャラクターが出てくるエピソードっぽいです。後書きを見るに、奈須きのこさんとType-Moonも月姫Rをちゃんと作ってはいるみたいです。Fate/Grand Orderで相当稼いでいるでしょうから、きっと古参ファンも納得の出来になるのでしょう。個人的には『魔法使いの夜』の2話と3話をぜひお願いしたい。ホント楽しみにしているんで生きているうちにプレイしたいです。

FGOで間口が広がったType-Moonの世界(英語で言うとNasuverse)、多数の作品にまたがるその設定をのり付けする作品。FGOで触れたあなたも、月姫以来の古参のファンも、読んでみてはいかがでしょうか?

過去の感想はこちら