投稿者「uterium」のアーカイブ

2015年3月 呉 その2

その1 その2(本記事) その3

さて、大和ミュージアムを出て、戦艦陸奥のあれこれと「鉄のくじら館」を見学しました。「啓開」という言葉を新しく知りました。海上自衛隊の歴史は機雷の除去から始まったんですねぇ。

今回の旅の目的の1つ、戦艦陸奥のあれこれです。艦これの嫁なんです。

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錨。

 

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主砲身、スクリュー、舵。「武蔵」を筆頭に実物を見るのが難しい艦が多い中、こうして陸上で実物が見られるのはありがたいですね。むっちゃん可愛い。

鉄のくじら館、というか退役した潜水艦の内部です。

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艦長室。

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隊員の寝所。狭い…。

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潜望鏡のシャフト

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魚雷発射管があるところを上から眺める

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最後に遠景を。狭い狭いと言いつつ、外から見るとでかい。燃料槽だったり、機関だったりが色々大きいんでしょうねぇ。

続きます。

2015年3月 呉 その1

2015年3月の末、日帰りで呉に行ってきました。大和ミュージアム見学と呉の町歩きを兼ねて。

その1 大和ミュージアム編。

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朝、ほぼ始発の新幹線で広島経由、呉に到着。後から知ったんですが、JRの呉線はかなり昔からある路線みたいですね。寂れたローカル線ではなく、生活に密着した路線なんだなぁと、結構多い通勤通学客を見ながら思っていました。

朝食をとらずに来たので老舗の喫茶店「レスト」でオムライスを食しました。

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大和の艦内で食べられていたという大和オムライス、ご飯はチキンライスではなく、ケチャップが市販の物よりもちょっと酸っぱかったかな。美味でした。

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その後大和ミュージアムへ。

大和ミュージアムで撮った写真からいくつかつまみます。

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大和のでかい模型。億単位のお金がかかっているというのがすごい。

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零戦52型。昔は21型?52型?なんか違うの?みたいな感じだったのに。艦これ様々です。

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当時の工具。ノギスの基本的な形状が変わらないのがすごい。

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フォントが結構可愛い。

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模型も色々あってすごい。コレは艦上爆撃機「彗星」。彗星夜襲隊を読んで以来、日本の航空機の中ではかなり好きな一機です。

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空母「大鳳」

続きます。

『アリス・エクス・マキナ 1〜3』著:伊吹契 挿画:大槍葦人

人類は未だかつて、人の手によって人の代替になり得る知性と人格を創造したことはないわけですが、それを作ることは多くのフィクションでテーマとなっています。多くの作品において、それを容れる器、要するに人間型のロボットですが、それらの見た目は美しいと相場が決まっています。まぁそうですよね。わざわざ作るなら美しい方がいいでしょう。

ということで、本作『アリス・エクス・マキナ』もその系譜に連なる一作です。著者伊吹契さんのデビュー作だそうで、それにもかかわらずなんとあの大槍葦人氏が挿画を担当。すごいですねぇ。「アリス」、「美少女アンドロイド」ときて挿絵を頼むならこの人を置いて他にはありますまい。

さて、本作に登場する美少女アンドロイドはアリスと呼ばれるわけですが、主人公(朝倉冬治:あさくらとうじ)はアリスの人格プログラムをクライアント好みに調整する「調律師」という仕事を生業にしているプログラマです。孤児院育ちの彼には実は子どもの頃に生き別れになった美しい幼なじみ(永峰あきら)がいるのですが、ある日、彼の工房にその彼女そっくりなアリス(ロザ)が人格プログラムの調整を依頼しに来ます。その依頼の内容は「あなた(冬治)の好きなように調整して下さい」というもの。この不可解な依頼から物語は始まります。

この作品のテーマは「優しい嘘」なのかなぁと思います。基本的に大切な誰かの代替物として主人の下に来るアリスの存在そのものが、「優しい嘘」ですしね。まぁその辺は是非最後まで読んでいただくとして。個人的には嫌いではない結末でした。

レーベルが大人向け?の星海社フィクションズ、著者もしっかり社会人経験ありということで、社会が描かれているのが印象的な作品でした。社会人として働いて生活を維持すること、性欲解消の道具として売春宿で使われるアリスたち、などなど。高額(1000万円台、ただし必要なのは潤滑剤や冷却材、燃料?などとして使われるオイルくらいなので、ランニングコストは人ほどかからない)アリスを手に入れるためになんとかお金を工面する様とか結構リアル。値段の設定が、現代日本における子どもの養育費と桁が合っているのは、「人間の代わり」という作中での取り扱いを象徴しているようです。

人工の、知性と人格を備えた存在、というテーマを扱った作品として、きちんと考えられた一作です。

  

『マージナル・オペレーション F2』 著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

本編の後日譚に属する短編を集めた短編集です。以前、星海社のネットラジオで読者から色々とリクエストが来ていたのを覚えていますが、それへのアンサーなんだなと読んでおりました。前巻Fと同様に各話毎に手短な感想を書きます。

##第1話 私のトリさん
主人公は子どもたちの1人、サキ(確か日本人とタイ人のハーフという設定だったはず)、彼女が東京の高校に通い始めた後の、ある日の出来事を描いたエピソード。彼女がどうやってアラタの元に来たのかもちょっとだけ語られ(スモーキーマウンテン出身という設定や病弱だったという設定がより具体的に語られる)、本作を通じてサキというキャラクターに厚みが出ます。本筋とは外れますが、日本や東京が異様に時間にうるさい、それを誇らしく思っているのがおかしい、というカルチャーギャップは結構面白いなぁと。日本人に限らず西洋人ですら、産業革命以前はそう言う感覚だったらしいですし、言われてみると確かにそうかもしれません。

##第2話 新しい首輪
シリーズの主人公アラタに関わった順で言うと、メインヒロインのジブリールより早いホリーさんの話。ジブリールとアラタを奪い合う女の戦いと、ただれているようで、まったく健全なアラタとホリーの会話劇が主題なのかな。表だってキャットファイトするわけではないので、冷戦みたいなもの、周囲が大変な思いをしているのが少し笑えます。明確に書かれているわけではないですが、仕事の話に集中して、周りのことが分からなくなっているアラタって本当にかっこいいんでしょうね。それこそ対局中の棋士みたいな感じで。

##第3話 若きイヌワシの悩み
アラタに最初からついてきていた子どもたちのうち、彼に比較的近い位置で物を見ているイブンの話。傭兵をやめた後にどうするのかという話で、多分第1話のサキの話の前日譚になるのだろうと思います。イスラム圏の人の職業観が垣間見えて面白いエピソードでした。職人に弟子入りしてオンザジョブで仕事を覚える江戸時代以前の日本に近い職業観なのかな?近代化されていない地域の出身だから、学校というものはイスラムの神学校しかない、ということみたいです。

##第4話 子供使いの失踪
アラタ一行が徳島で開催されているイベント「マチアソビ」に来て、その上で騒動に巻き込まれるという話。失踪という言葉の通り、アラタがいなくなって部隊が非常に混乱します。著者の芝村さんの、おそらくは知己の人々がキャラクターとして出てくるのと、氏の他の著作からキャラクターやメカが登場します。が、それらを僕は読んでいないので、胸が躍ると言うことはありませんでした。そう言う意味でもコアなファン向けのファンサービスみたいなものかと思います。

各エピソードの後に色々とさらに短いサブエピソードが挿入されて、その中にはなかなかドキッとする物もありました。それは読んでのお楽しみとしておきましょうか。

『砂糖の世界史』 著:川北稔

砂糖という製品を媒体にして、近代の庶民生活、経済システムなどの変化を綴った本。岩波ジュニア新書なので小学生、中学生向けと思いきや、門外漢の大人にとっても良書なのは本書も同じく。

本書には「砂糖」、「コーヒー」、「お茶」、「カカオ(チョコレート)」など、現代に広くたしなまれている嗜好品が登場します。本書でそれらは近代初期に世界的に取引された商品、「世界商品」と呼ばれています。そしてそれらの世界商品がどのようにして社会に、特に日本を含めた西洋近代をベースとする社会に広がっていったのかが紹介されます。「三角貿易」という言葉がありますが、まさにその中心地域であった大西洋を中心とした南北アメリカ、ヨーロッパ、そしてアフリカが主な対象地域となります。単なる貿易についてだけでなく、当時の貴族や庶民の暮らし、そして「砂糖」などの製品を生産するために使役された現地人や黒人奴隷の様子までが縦横無尽に紹介されます。

「砂糖」という世界商品を題材とするだけで、現代に通じる生活習慣や経済システムなど、社会の諸要素がどのように成立したのかをかくも広範に説明できるのだなぁと感嘆しました。熱心な文系の学生でもない人間からすると、無味乾燥な語句と年表の組み合わせに過ぎなかった歴史に肉がついて見えてきます。確かに現代というものは、過去の歴史の土台の上に成立しているものであり、歴史を理解することは現代をよりよく理解することにつながるのだなと思いました。というか、初期の株式市場のバブルと崩壊なんて、現代と同じような物に見えてきます。正直言って人間ってここ300年くらい全く進歩してないんだと思えてきます。

ほんの3日ほど、4時間くらいで読み終わりましたし、扱っている題材は上にも書きましたが現代を理解する上で大変役に立つ興味深いものです。価格も安いですし、非常におすすめの良書です。下のアフィリエイトから是非ポチッとお願いいたします(苦笑)。

『アンゴルモア 元寇合戦記 (1)』 著:たかぎ七彦

アンゴルモアというと、20世紀末に流行ったノストラダムスの大予言に出てくる恐怖の大王の名前でしたか。本作は副題にもあるように、モンゴル帝国による日本侵攻、黒船来襲以前最後の外国による侵略、要するに元寇が題材となっている作品です。

なにやら掲載誌がなくなったりと色々あったらしく、2015年2月に1巻が出たらしいです。ネットで表紙を見かけて興味を持ち、買って読んでみるとなかなか面白い。中学の歴史の教科書程度のことしか知らないので、具体的な話は(フィクションとはいえ)興味をかき立てます。

時は鎌倉時代、場所は対馬。地図で見ると朝鮮半島に近く、まぁ朝鮮半島から出発して日本を侵略しようとすればまず橋頭堡になるであろう島です。そこに1人の鎌倉武士が島流しにされてきます。名前は朽井迅三郎、義経流という兵法の使い手で、かつては海賊狩りをしていたが、本巻ではまだ明かされてはいない理由でこの島に流されてきたもよう。着いてみれば異様な雰囲気、それもそのはず、まもなくモンゴル帝国軍がこの島に来るというのであります。お忍びで島に来ていた在九州幕府軍の大将軍に、七日間島を持たせろと言われた迅三郎はいかに立ち回るのでしょうか?と言うのがあらすじになります。

戦闘シーンに迫力があり、容赦なく人が死んでいきます。あと、対馬の豪族の姫君が出てくるのですが、彼女の作画がちょっと他と違う、というかそれ以外の荒くれ者たちのビジュアルがなかなか強烈です。とはいえ、多分当時の人たちはイメージとしてはあんな感じなんでしょうねぇ。主人公が放たれた矢を受けるシーンがあるんですが、右前で半身になって、顔の前に刀を立て、目を見開いて矢を落とす構えをしていて、作者は古武術なんかをよく研究されたのかな?などとも思いました。『ヴィンランド・サガ』を描いておられる幸村誠さんが帯で絶賛しておられるので、きっと今後も面白くなるに違いありません。今後が実に楽しみな作品です。まだ巻数も少ないですし、とりあえず手に取ってみてはいかがでしょうか?

艦これil-2のすすめ

このブログを読んでくださる方に、艦これ(正式名称艦隊これくしょん。2015年現在大変流行しているブラウザゲーム、詳しくはggってください。)の提督の方はどれくらいいらっしゃるんでしょうね?イベントの攻略記事をこの前書いてみたんですが、さっぱりViewが集まらなかったんで、あんまりいないんですかね?まぁかなりメジャーな検索ワードでしょうから、何かしらアピールしないと集まる物も集まらないという感じでしょうか。

ということで、この記事では艦これ関連の動画のオススメをしたいと思います。「伍長」さんという方がニコニコ動画とYoutubeに定期投稿されている動画「艦これil-2シリーズ」です。どんなものかといいますと、il-2という第二次大戦期のウォーフライトシミュレータゲームの動画キャプチャーと編集を駆使して、艦これのゲームの進行、のような艦隊戦を実写風艦船、飛行機CGでリアルにやってしまおうというシリーズです。艦これゲーム内で繰り広げられる航空戦や対空戦闘、艦隊戦などが実際にはどのような形で行われるのか、おぼろげながら知ることができます。個人的にはその辺全く教養がなかったので、大変興味深く見させてもらっています。隔週更新なのですが、毎回更新がとても楽しみです。

本作では艦娘(艦これのゲーム内で艦艇を擬人化した美少女キャラクター)は船です。まぁいわゆる美少女萌えはないわけですが、個人的にはメカは好きなので問題なし。作中の提督とは普通に話をしているようで、いわゆる娘フォルムと船フォルムの関係は謎のままです。まぁ明かされることはないでしょう。そして、ある意味キャラの濃さで艦娘を食っていると言ってもいいのは「妖精さん」でしょうか。航空機の搭乗員、船の艤装の操作などを担当する「妖精さん」が多数登場し、皆さん個性的な働きを見せてくれます。彼らのやりとりを見ているだけで非常に面白い。「艦これ」の提督さんで、特に装備妖精が好きな方々にはたまらない一作かもしれません。

艦これの本編も面白くて2年ほどプレイを続けていますが、本作はその面白さを補い、かつ別の面白さを提供してくれている良質の二次創作だと思います。この記事を読んで少しでも興味を持たれた方は、是非下のリンクから第1話をご覧になってみてはいかがでしょうか?

『(株)貧困大国アメリカ』 著:堤未果

自由と民主主義、そしてフロンティアスピリットの国アメリカ。それが実は企業とグローバル資本によってゆがめられていて、企業によって支配された狂った国になってしまっているのだというコとを書いた本。それがまさに(株)というタイトルに現れている訳です。

TPPもどうせごり押しされるんだろうし、TPPに飲み込まれたらどうなるのか、いっちょ読んでみるかと読んでみたら、まぁ気が滅入ること気が滅入ること。日本が居心地がいい国なのかといわれると、特に労働環境やシルバー民主主義など、何とかならんものかなぁと思うわけですが、かといってアメリカも住みたい国かと言われると、この本を読む限りちょっと御免被りたい感じです。

グローバル企業による多額の企業献金と議員買収によって企業にとって都合が良いように法律が変更され、それによってアメリカ国内の農業も、小売業も、マスコミも、地方自治体も効率と収益性を追求する組織に変えられてしまい、安全や公共、環境への影響、報道の中立性といった概念がないがしろにされていること。それによって確かにお金の総量は増えてるんだろうけど、決して社会が豊かになってはいないという事例が次々に紹介されます。どうしてこんなことになっているのかという感じ。オバマ大統領の支持率が下がっているのも宜なるかな、なんか口だけの男に見えてくるのがなんとも言えません。

最後の章に提示されている処方箋は、同じ著者の別の著作である『社会の真実の見つけ方』にも書いてあるように、お金と時間と手間をかけて、健全なメディアを育て、味方を増やし、代議士を動かすしかないようなんですね。日本の現状を見る限り、結構絶望的だなぁなどと思ってしまうのでした…。

一時期話題になった「Occupy Wallstreet」運動や「アノニマス」の活動がなぜ起こったのかなど、アメリカや格差社会についてのニュースを理解する結構重要な補助線になる本のような気がします。その辺を理解した上で、TPPとかその辺の事象について考えていきたいなぁと思います。

『虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか』 著:ロジェ・ポル・ドロワ 訳:島田裕巳、田桐正彦

要約すると、19世紀のヨーロッパにおいて仏教が「虚無の信仰」として誤解され、怖れられていたという史実について、その状況と経緯について書いた本です。誤解が解けて受けいられていくプロセスについても書かれています。

細かい議論を枝落としして要約すると、どうも「仏教=虚無の信仰」説は、科学による自然の原理の解明と、哲学の思索の結果たどり着いてしまった「神の不在」「道徳と真理の物別れ」と、仏教が西洋社会に紹介されたタイミングが一致したことによって生じたもののようです。要するに仏教それ自体の性質やあり方とは関係なく、西洋が「神の不在」によって精神的な基盤を喪失しているところにたまたまそれっぽいものが入ってきてしまったに過ぎない、ということのようです。「悟りを開く」とか「無我の境地」といったものが、「虚無」と結びついてしまったようです。このあとヨーロッパ人の非ヨーロッパ人に対する人種的優越みたいな形で人種差別に結びついてみたり、後世の人間から言わせていただくと何言ってんだこの人たち状態です。

ただ、異文化の理解という問題に一般化すると、この本を読んでいる日本人の僕が「虚無の信仰」の深刻さとか、「神の不在」がヨーロッパ人のアイデンティティに与えた破壊的な影響の深刻さを正しく理解することも、同じく難しいのだろうなと思います。読んではいるけど、「虚無の信仰」の「虚無」の深刻さも、僕らはおそらく分かっていない。当時の人の「マジさ」が理解できないのと同様、この本が書かれるに至ったのであろう現代ヨーロッパの平均的なアジア理解のレベルも分からないだろうと思います。

このように、異文化や異なる宗教を理解することの難しさを疑似体験させてくれる一冊です。おそらく専門書に近い本だと思われるので、なかなか読むのに苦労しますが、正直最初と最後だけ初学者というか、門外漢には十分だと思いました。

『乙嫁語り(7)』 著:森薫

今年もこの季節がやってきました。そう、森薫先生の『乙嫁語り』のコミックス発売日です。ということで最新刊の7巻について書きたいと思います。今回の主人公は表紙に出てきているアニスさんです。今回は普通の結婚ではなく、姉妹妻という女性同士の結婚のような制度が紹介されます。ちなみに前巻6巻の感想はこちら

舞台はペルシア。超金持ちの箱入り奥様アニスは、公衆浴場でシーリーンと出会います。彼女に心引かれたアニスは、彼女に姉妹妻になってくれないかと頼む。はてさて2人はどうなるのか?

と言う筋書きです。公衆浴場という言葉があることから分かりますように。女性の裸体の大盤振る舞いです。前作『エマ』でもエマの雇い主になるドロテア奥様は裸族というか、惜しげなく読者に裸体をサービスしてくれる女性でしたが、今回はアニス、シーリーン含めていろいろな体型の女性が出てきます。描いてて楽しいんだろうなぁという感じが伝わってきます。

イスラム教圏というか、中東の文化って、我々からするとちょっと違うなと思わされるものが多いわけですが、本作をそれなりに合理性があるものなのだなと言う気がしてきます。一夫多妻制も、機械文明や情報文明が発達していなくて女性が自活する手段が乏しく、かつ「平等に愛する」とか、「十分な資産を持っている」条件を満たす限りにおいてはそこそこ合理性があると思えますし。ますます中東とか中央アジアに行ってみたくなってきたわけですが、現実はちょっととても行けたものではないのがつらいですね。4,5巻辺りで出てきたライラ・レイリ姉妹の生活圏、アラル海はすでに砂漠になってしまっているわけですし…。