もはや言う事もあるまい、中央アジア譚。
この巻も非常に面白かった。テーマは、5巻が「ごちそう」、6巻は「戦争」かな?
全体的に動きが激しくて、普段の端正で緻密な線とうってかわって荒々しい描線。「エマ」を含めても、本格的に戦争を描いたのはこれが初めてじゃなかろうか?
5巻からの伏線?で手負いの鷹を活かすか殺すか、という事を決断をするときにアミルが言った「鳥は空を飛んで生きるものです このまま空も飛べずエサをもらって それでは命あっても生きているとは言いません」というセリフが、本巻での「馬は野を駆けて生き 鳥は空を飛んで生きる」というアゼルのセリフに被ります。二人が全く別のところで別の事象を目の前に言っているのが肝で、二人が兄妹であるを良く表す素晴らしい伏線だと思います。同時に、親父さんはもうろくしちゃったんだなぁと思わされるわけですが。
現実の歴史を考えると登場人物の前途は決して明るいとは言えなさそうな気がするのが何ともやるせないです。前述のセリフは、それを暗示しているような気がするのも何とも…。実際問題、ライラ、レイリ達が住んでいたアラル海は物理的にもうないわけですし…。
次巻はスミス陣ということでまた一年待とうと思います。
乙嫁語り 6巻 (ビームコミックス) (2014/01/14) 森 薫 |