『アンゴルモア 元寇合戦記 (1)』 著:たかぎ七彦

アンゴルモアというと、20世紀末に流行ったノストラダムスの大予言に出てくる恐怖の大王の名前でしたか。本作は副題にもあるように、モンゴル帝国による日本侵攻、黒船来襲以前最後の外国による侵略、要するに元寇が題材となっている作品です。

なにやら掲載誌がなくなったりと色々あったらしく、2015年2月に1巻が出たらしいです。ネットで表紙を見かけて興味を持ち、買って読んでみるとなかなか面白い。中学の歴史の教科書程度のことしか知らないので、具体的な話は(フィクションとはいえ)興味をかき立てます。

時は鎌倉時代、場所は対馬。地図で見ると朝鮮半島に近く、まぁ朝鮮半島から出発して日本を侵略しようとすればまず橋頭堡になるであろう島です。そこに1人の鎌倉武士が島流しにされてきます。名前は朽井迅三郎、義経流という兵法の使い手で、かつては海賊狩りをしていたが、本巻ではまだ明かされてはいない理由でこの島に流されてきたもよう。着いてみれば異様な雰囲気、それもそのはず、まもなくモンゴル帝国軍がこの島に来るというのであります。お忍びで島に来ていた在九州幕府軍の大将軍に、七日間島を持たせろと言われた迅三郎はいかに立ち回るのでしょうか?と言うのがあらすじになります。

戦闘シーンに迫力があり、容赦なく人が死んでいきます。あと、対馬の豪族の姫君が出てくるのですが、彼女の作画がちょっと他と違う、というかそれ以外の荒くれ者たちのビジュアルがなかなか強烈です。とはいえ、多分当時の人たちはイメージとしてはあんな感じなんでしょうねぇ。主人公が放たれた矢を受けるシーンがあるんですが、右前で半身になって、顔の前に刀を立て、目を見開いて矢を落とす構えをしていて、作者は古武術なんかをよく研究されたのかな?などとも思いました。『ヴィンランド・サガ』を描いておられる幸村誠さんが帯で絶賛しておられるので、きっと今後も面白くなるに違いありません。今後が実に楽しみな作品です。まだ巻数も少ないですし、とりあえず手に取ってみてはいかがでしょうか?

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