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ビルケンシュトックのサンダル フットベッドの補修

ドイツの健康サンダル、ビルケンシュトック(Birkenstock)下手なスニーカーよりも歩きやすいという代物です。ものによってはABCマートで売ってるサンダルと大して変わらないデザインの割に価格は何倍もするものですが、ネット通販で買えば、意外と安く買えたりします。このサンダル、歩き心地履き心地もさることながら、いろいろ修理して使えるという利点があります。本ブログの本特集の趣旨にも沿うというわけです。

というわけで今回は、このビルケンシュトックのサンダルのフットベッドを補修する作業をやってみたいと思います。作業自体はメーカーに依頼しなくても大丈夫で、必要なものさえ買えば誰でもできるものです。

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今回修理するのはこちら、手持ちの「ボストン」です。

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かかとの部分を見てみると、若干ですが、フットベッドの表面がザラザラというか、コルクがボロボロ落ちてきそうな感じになっていますね。というわけでここを何とかします。

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使う道具というか、薬品はこちら。ビルケンシュトックのkork-pflegeという薬品です。都会にある直営店ならだいたい買える…はずですし、地方にお住まいの方は通販を使うのがよろしいかと。ちょっと探してみると、あんまりないみたいなんですが…。

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ちょっと赤みがかった木工ボンドみたいな感じ。実際においもそんな感じです。いいにおいではない。

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フットベッドの側面に塗り広げて、後は乾かすだけです。

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できあがり。作業が終わってから容器側面の説明を読むに、もっと薄い膜を作るように塗るみたいですね。次は気をつけようと思います。

まとめます。

ビルケンシュトックのサンダル、フットベッドの補修
作業:自分で
作業時間(納期):5分
必要なもの:フットベッド補修材(Birkenstock社製kork-pflege)
予算:1000円以内

『女騎士さん、ジャスコ行こうよ』 著:伊藤ヒロ 挿画:霜月えいと

編集部が株式会社イオンに許諾を取ったとか取らないとかということで発売前に話題になった一作。無事許諾されたそうですが、結局使い切っていないようです……。作者は存じ上げませんが、挿絵は無駄に気合いの入ったハエの交尾絵を描いた霜月えいとさん。

具体的には、県境で辺境中の辺境という町(村?)に西洋ファンタジー世界風の異世界から女騎士とお姫様が亡命してきて、それをきっかけに騒動が起きるという作品。タイトルからお察しの通り、ギャグ作品です。それもハイコンテキストな。ここ何年かのネット界、オタク界の事情を追いかけてこなければさっぱり事情が分からないんじゃないだろうか?1000年とか100年後の人は、僕たちがいろいろな資料を読まないと古典をちゃんと理解できないのと同じく、様々な参考資料を漁らないと本作を読むことはできないのではないかと思わせます。なにせ本作の女騎士は、ファンタジー世界の人物からするといわばメタ的に、守護対象の貴人を人質に陵辱されるというお約束を知っており、それがたびたびネタにされますからねぇ…。現代のオタクはそれを半ば常識として知っていますが、100年後の研究者がそれを理解するためには、鳥山明デザインのスケベな衣装の女戦士(詳しくないのでこれがオリジナルなのかは知りませんが、どなたか詳しい方、教えてください)や、そこから派生する成人向けパソコンゲーム史をひもとかないといけないわけですからね…。

どうも本作の現実(に近い、主人公たちが生活する)世界は異世界との交流がそれなりにあるらしく、お姫様のポー姫が日本通(オタク外国人的な意味で)いわゆる都会的な生活がしたいにもかかわらずこの世界で市民権が得られるのは亡命先の平家町だけ。インターネットはADSLはおろか、ISDNすらなく、おそらくは2010年代なのであろう作中世界においても深夜にテレホーダイ(懐かしいですねぇ)を使わなければならないという…。それで不満を募らせたポー姫は…。

本作の見所は無駄に気合いの入った田舎あるあるネタ(大型ショッピングセンター、いわゆるジャスコネタ含む)と、舞台である平家町の、結構異世界から亡命者がやってきてそれが町民と普通に暮らしているという設定でしょうか?何せタコ型宇宙人に某ラブクラフト的な異形の怪物までいますからね。後者に至っては、主人公の通う高校の生徒をやっていて、普通に美人のクラスメイト的な扱いを受けているという。誰も違和感を持っていないんですが、まぁ分かってやっている「突っ込んじゃいけないネタ」というやつでしょう。ヨソ者にうるさいはずの田舎町なのに、知性はあっても人間ではない存在まで許容している平家町という舞台が不思議でしょうがありません。主人公たち以外、普通のおじいちゃんおばあちゃんですからね?

ヨソ者と田舎、変化を許容するのか、許容しないのか?というところは意外と考えるところがあるなぁと思ったりしました。案外考えさせられる……いややっぱり本作は、頭を空っぽにしてノリを楽しむ作品なのでしょう。ということで1000年後にまで残れば、きっと未来の日本文化研究者を混乱の渦に巻き込むこと必至の作品、いかがでしょうか?

『永遠の0』 著:百田尚樹

一応名前と幾ばくかの評判を耳にしたことのある本ではあったが、読んだことはなかった一作。読んでみたら見事にはまってしまった。何せ、読んだその夜に夢に見たくらいに。

主人公とその姉は、歴戦の海軍航空兵で最後特攻隊で命を落とした実の祖父(祖母の最初の夫)宮部久蔵のルーツを辿るべく、ゆかりのある人々に連絡を取り、祖父の戦歴の聞き取りを始める。優秀なパイロットでありながら非常に命を惜しみ、時には臆病者とさえ言われた祖父久蔵の本当の姿はどうだったのか、長い道のりを経て2人はついに真相に至る…。正直最後は全く予想の外でした。なんというか、内容に熱中しすぎて伏線を考えるのを忘れるくらいでした。

主人公のあり方は僕を含めた現代の若者の一般的な姿であり、もう一人の主人公である久蔵も当時の人でありながら現代人に感情移入しやすい人物造形で、ページを繰る手が止まりませんでした。彼に感情移入して戦争を戦ってきたような気分になっていたがゆえに、物語終盤の久蔵の焦燥と絶望が、本当に心に沁みました。現実に多数の戦友や教え子の死を看取り、自分の死を目の前にしてどう考えてどう思うかなんて現代人の想像の外なのでしょうけど…。

日中戦争から、真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナルに沖縄特攻まで、本作の中で語られる主人公の祖父久蔵の戦歴は、まさに太平洋戦争の戦史そのものです。戦争の流れ、日本がいかにアメリカと戦い,いかに無様に負けたかが手に取るように分かります。参考文献が巻末についている(その1つであり、中で隊長の美濃部少佐が言及されている芙蓉部隊の戦記『彗星夜襲隊』のレビューはこちら。オススメです。)ので、本作を端緒にそれらを読めば、義務教育では教えられない太平洋戦争の全貌もつかめるようになるかなと思います。面白いフィクションを読んでは、その題材について掘り下げるという人生を送ってきましたが、私の目からすると太平洋戦争に関して、本書はその役割を担い手たるに十分だと思います。平和を志向するならばなおのこと、戦争についてよく知らねばならんと思うのです。世の中きな臭くなってきていますし、自分自身や友達、子々孫々を戦争に巻き込まず、二度と国土を戦火で焼かず、諸外国の皆さんにご迷惑をかけないために、一度きちんと学ばなければならんのだろうなぁと思います。

特攻を命じた海軍上層部、そもそも人命軽視の作戦計画、兵器の設計(零戦の場合、高馬力エンジンを作れなかったときにどうにか勝てる飛行機を作ろうとした技術者の苦心の成果ともいえるのかもしれませんが)が、本作では徹底的に批判されているのですが、その様には、いわゆるブラック企業の経営者が、特に下っ端で働く兵卒相当の人間のことを人と思わず、代わりはいくらでもいるとそれこそ死ぬまでこき使う様子がダブります。そのために緩やかに負けに向かっている様子は、どうも日本人という民族の精神性は、先の大戦から余り変わっていないのではないかと思ってしまいます。嫌ですね。

本作はフィクションではありますが、今を生きる日本人すべてにとって、自分の祖父母、あるいはもっと先祖に当たる人たちは確実に太平洋戦争を経験しているということはノンフィクションです。一人一人に宮部久蔵に相当する人がいて、いわば「永遠のゼロ」があるのです。それぞれが戦争の極限状態の中で何かを見て、思って考え、そして手のひらを返した戦後の日本を生きて、自分へと血をつないできたのです。私自身既に鬼籍に入っている祖父(戦死はせずありがたいことに無事に復員できたのですが)がどこでどんな軍歴をたどったのか、調べてみたくなりました(今でも厚生労働省にしかるべき手続きを取って請求すれば、軍歴を知ることができるようです)。作中でも主人公が言及していますが、ここ何年かが太平洋戦争について体験者の肉声を聞くことのできる最後のタイミングなのではないかと思います。従ってこんな作品が現代に書かれ、広く読まれているのは、大変意義深いことだなぁと、勝手に思うのです。

『社会の真実の見つけ方』 著:堤未果

『貧困大国アメリカ』などで有名な在米日本人ジャーナリストの語る、メディアリテラシーの磨き方といった趣の本です。子供向け、というか中高生向けのノンフィクション書籍は、大人が読んでも非常に興味深くて面白いです、というか、大人であっても全く土地勘がない分野の勉強を始めるときには、最適な本なんじゃないかと思います。岩波ジュニア新書はいい本が本当にたくさんあるのですが、是非とも続けてほしいシリーズの1つであります。

扱っているテーマとしては、メディアによるアジテーションとプロパガンダ(9.11とイラク戦争を題材として)、新自由主義や市場至上主義による公教育の崩壊、ウィキリークスとメディアリテラシー、そして選挙「外」の政治活動について。でしょうか。前半2つを読んでいると、はっきり言って、あの話を読んでアメリカに住みたいだなんてちっとも思いません。日本がアメリカ化しつつあるというのは、全くもって勘弁願いたいものです。あと、9.11からイラク戦争に向かうアメリカの動きについては、サダム・フセインをヒトラーになぞらえて悪役化する一方で、彼が発明者であるマスメディアを使ったプロパガンダが最大限活用されている様子は何とも皮肉なものがあります。

本作の訴えるところでは、国内、海外、媒体を限定せずに複数の情報収集チャンネルを持ち、それらを互いに見比べること。そして、それらを総合して自分の頭で考えることこそがまさに「社会の真実の見つけ方」になるわけですが、なかなかできないよねぇというのが、現在の娑婆世界を眺めていて思うことではあります。大人こそできていなかったりしますしね。

そして、社会の真実を見つけるだけでなく、どんどんおかしくなっていく世の中をどう変えていくのか、それは詰まるところ政治であり、選挙の時にどうにかこうにかするだけでなく、普段から政治について考えて、「選挙期間の外」で議員さんとできれば直接コミュニケーションをとることの大切さを説きます。本書は若者、特に中高生を相手にしている本なのでしょうから、特に「待つ」ことの大切さを説いているのが印象的でした。すぐに結果が出ないからといって見放したりしないで、粘り強く活動を続けることの大切さが説かれています。これに関しては、本当にその通りだと思いつつ、働き始めれば仕事と、あとはかろうじてプライベートとか家族形成で人生が埋まってしまう日本の難しさも思いました。これではなかなか世の中を変えるのは難しそうです。

発売されたのが2010年で、3.11以降のメディア環境の混乱についてはあまり語られていないので、是非とも著者による総括を聞いてみたい物ですねぇと思います。できれば、これくらいの平易な語り口で。

 

 

2014年9月の読書記録

2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2708ページ
ナイス数:50ナイス

つるつるとザラザラの間(2) (アフタヌーンKC)つるつるとザラザラの間(2) (アフタヌーンKC)
読了日:9月24日 著者:月子
社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書)社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書)感想
社会の真実を見つけようとすることは,難しくもないが,簡単でもない.近道などないのだなぁ.しかし,サダム・フセインをヒトラーになぞらえるアメリカのメディアが,ヒトラーが元祖と言っていいマスメディアによるプロパガンダ手法を駆使する様は何か,悪いジョークのようだ.
読了日:9月23日 著者:堤未果
永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)感想
太平洋戦争史入門編として、非常によくできた本だなぁと。現代人からして感情移入しやすいキャラクターの設定で、話としておもしろく、かつ参考書籍が明示されてるのが非常によい。正直、九州での久蔵の焦燥が、手に取るようであった。
読了日:9月22日 著者:百田尚樹
江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)感想
要するに「江戸しぐさ」はフィクションであり,極論をすれば萌え四コマやアニメと大差はない.むしろ後者の方が,フィクションとして慎ましやかにしている分無害といえるかもしれない.教材と学問の関係がよく分かるというか,学界で論理と実証を徹底的に追求されるが故に,知という物は教材としての権威性を得るものなのだなぁと.そこをすっ飛ばすのはルール違反だわねぇ.
読了日:9月17日 著者:原田実
姫さま狸の恋算用(1) (アクションコミックス)姫さま狸の恋算用(1) (アクションコミックス)
読了日:9月17日 著者:水瀬マユ
つるつるとザラザラの間(1) (アフタヌーンKC)つるつるとザラザラの間(1) (アフタヌーンKC)
読了日:9月17日 著者:月子
高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学感想
ロジックが込み入ってなくて、さらっと読める。特に前半はつかめないところがあったが、何度か読めば分かるようになりそうだ。再読しよう。
読了日:9月14日 著者:菅原晃
終電ごはん終電ごはん
読了日:9月3日 著者:梅津有希子,高谷亜由
ロードバイクの科学―明解にして実用! そうだったのか! 理屈がわかれば、ロードバイクはさらに面白い (SJセレクトムック No. 66)ロードバイクの科学―明解にして実用! そうだったのか! 理屈がわかれば、ロードバイクはさらに面白い (SJセレクトムック No. 66)
読了日:9月3日 著者:ふじいのりあき
女子のてにをは 1 (ビッグコミックス)女子のてにをは 1 (ビッグコミックス)
読了日:9月3日 著者:るなツー
魔女は月出づるところに眠る 下巻 ―東からの夜明け― (電撃文庫)魔女は月出づるところに眠る 下巻 ―東からの夜明け― (電撃文庫)感想
本作は愛、少なくとも誰かを思いやり、寄り添い、理解しようと努力をするという愛の要件のいくつかが柱になっている話だったなと思った。それが不幸にもいろいろとうまくいかないというのが、2000年続く魔女の因縁と主人公を取り巻く現代の人々のありようであり、それらを全部ひっくるめて引き受けて、世の中すべてを愛しきったのが主人公だったなと。
読了日:9月1日 著者:佐藤ケイ

読書メーター

『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』 著:原田実

唐突ですが、私はMOSAIC.WAVというグループの「ギリギリ科学少女ふぉるしぃ」という曲が大好きなのです。いわゆる「電波ソング」と呼ばれる種類の曲なのですが、歌詞が秀逸で、

お気に入りのキャラのカップで、飲んだら水がおいしかったので、水にも「萌え」が分かります。

てな具合に、常々白い目で見られ、迫害されがちなオタク文化になぞらえて、疑似科学を揶揄するのです。上記に引用した歌詞は明らかに「水にありがとうと言ったら結晶がきれいになる」と主張する「水からの伝言」が、「キャラクターの絵が書かれたカップで水を飲んだらおいしい」という文言と同レベルであるとして小馬鹿にしているわけですね。この歌詞は結構本質を突いているなぁと思っていて、要するにフィクションやオカルト、疑似科学というものは本質的には同じものである、ということだと思うのです。

ということで、本書は疑似科学ではありませんが、偽史の一種である「江戸しぐさ」を批判する本です。著者は、オカルトや偽史を研究している在野の研究者で、まさにこの手の問題はお手の物というわけです。本書の主張によれば、江戸しぐさは発案者の芝三光の「創作物」であり、歴史的な根拠は全くない。そして、江戸しぐさとはどうも欧米流のマナーをその出自とするらしい推測しています。最後に、それが学校教育において道徳の教科書で教えられていることは非常によろしくないとしています。

本書はまず、江戸しぐさの成り立ちから広まり、創始者である芝三光氏や、越川氏の来歴まで、批判の根拠を入手可能な史料として包括的に語ります。本を書くだけあり、よく調べておられるなぁという感じ。著者の本書にかける思いが伝わってくるようです。というか怪しいところをピックアップしているからかも分かりませんが、この江戸しぐさ、素人の目から見ても「ええー」という怪しいものが満載です。「後引きパン」なる食べ物のところなんて、なんだそりゃ感満載。

本書はさらにオカルトと江戸しぐさの類似性を語り、教育現場への浸透を許した歴史学界や教育業界を批判します。「役に立つなら嘘でもいい」という主張は危険であるといいます。私自身もちょっとそう思っているところがあったので耳が痛いところです。と同時、論理と実証に支えられた学問の社会的な役割についても思うところがありました。

フィクションやオカルトというのは、浮き世のことに直接影響をおよぼさ「ない」からこそ、いいのだと思うのです。人を勇気づけたり、励ましたり、時にはひどく人を落ち込ませたり、フィクションには確かに,人をどうこうする力があると思います。しかし、結局フィクションなんてものはあくまで「娯楽」であり、それをあたかもノンフィクションのように使って世の中の操作に使おうなどとすることは、まじめに架空の世界を描いているフィクションにも、理不尽な現実と向き合っている科学や、世の中の諸物にも失礼だと思います。フィクションやオカルト、疑似科学や偽史の受け手である我々は、そういう噛み分けをきちんとやっていかなくてはならないでしょうし、本書は、その大きな助けとなるものと思います。

…あんまり書評っぽっくなかったかも。

自転車のホイールを組んでみた! その4 完成編

前:その3 作業編

2日間、おそらくは10時間近くの悪戦苦闘の後に人生初めての手組ホイールが完成。肩が凝りました。しかしホイールだけでは走れません。タイヤやらチューブやらが必要です。

リムフラップ(ホイールとチューブの間に入る樹脂,あるいは布製のテープみたいなもの)とタイヤ、チューブがなかったので買いにいったら、リムフラップを間違えて650Cのやつを買ってしまい、結局手持ちの、ちょっと古い物を流用しました。持っておく物ですねぇ…。

ということで、完成!前後とも綾は6本で取りました。3クロスというやつですね。見た目は完全にママチャリ用のホイールを細くした感じ。重量は、はかりがないので量っていません。多少軽くなってくれてるといいんですが…。肝心の乗り味は、いいですね。ハブがいいのか、舗装のいい道路だと本当に氷の上を滑っているかのごとく走ります。リムが軽くて慣性モーメントが小さいのか、加速もいいです。時速60kmで坂を下っても、安心してコントロールができます。当初のもくろみ通り、地味だが頑丈で素性がよく、走って楽しいホイールができました。

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スペックは以下の通り。

  • 前輪
    ハブ:Shimano Ultegra HB6700 32H
    リム:Mavic Open Pro Silver 32H
    スポーク:星 #14 ストレートスポーク
    組み方:イタリアン6本取り
  • 後輪
    ハブ:Shimano Ultergra FH6700 32H
    リム:Mavic Open Pro Silver 32H
    スポーク:星 #14 ストレートスポーク
    組み方:イタリアン6本取り

マビックのオープンプロがいいよと言われるわけが分かったのが、ホイールバランス(リムの円周方向の重量のばらつき)でした。シマノのR500の場合、前後で20グラムくらいおもりを足さないとホイールバランスが取れなかったところ、このホイールはほとんど取る必要がありませんでした。ああ、これが精度がいいということか、と膝を打った次第です。

正直、余り高そうには見えません。走るだけなら絶対完組のホイールを買った方が楽には違いありませんが、ものは買うだけ、作れば技術も身につく。お金も時間もかかったけど、やって良かったなぁと思いました。正直楽しかったです。

ということで皆さんも是非、レッツホイール組み!

 

自転車のホイールを組んでみた! その3 作業編

前:その2 パーツ収集編

何度も本を読み、DVDを見て、実際にパーツを取り出してイメージを膨らませ、その辺にある自転車のホイールを観察し、理屈を何となくつかんだ後に作業開始。

詳しくは割愛しますが作業中迷った点。
・寸法を正確に計るのは大変だが、まぁスポーク長が大きく外れなければ特に問題はない。
・振れ取り時のニップル回しの向きはネジと反対になります。左に回すとしまり、右に回すと緩む。これを間違えてぐちゃぐちゃにしてしまった。
・ホイールセンター(ホイールを使う向きに立てたときに、リム全体が中心を通っているかどうかを表す)という物がよく分からずにホイールセンターが出せなくて、最初は後輪がはめられなかった。一回失敗してやっとこどういう意味か理解できました。おかげでホイールセンターの重要性がよく分かりました。失敗は成功の母。
・スポークの緩み止めの付け方にはコツがある。何本かまとめて容器にドブ漬けし、その後スポーク同士をゴシゴシして、余計な分を落とす、とやるといいみたい。

要するに悪戦苦闘でした。技術というのは、「身につける」ものだなぁと改めて実感するものでした。

やっているうちに、ホイールを組むということは、いわゆる縦振れと横振れ、ホイールセンターに全体の平均スポークテンションの調整をすることなんだなと理解ができました。このバランスが取れていることが「ちゃんと組めたホイール」ということなので、リム、スポーク周りのホイールのメンテナンスはこれらのパラメータを、ニップルを回して調整することなんだなというのがよく分かりました。確かに、ホイールを組めば手入れの仕方はよく分かります。まだ1セット2本しか組んでませんけどね。

これに関しては,まさにこの動画に語られている通りでした.

さて次は完成です。
次:その4 完成編

自転車のホイールを組んでみた! その2 パーツ収集編

前:胎動編

さて、自転車のホイールとは、リム、ハブ、スポークの3つの要素からできています。この組み合わせで性能や何よりホイールの見た目が決まります。さてどうするかと思ったときに、どうも最近は銀色のホイールが少ないらしいという話を聞きました。確かに、手持ちのR-500もリム、ハブ、スポーク全部が真っ黒。売ってるホイールを見ても、全体が銀色という物はありません。ならいっちょやってみるかと、全部銀色のホイールを組むことに。そこから通販サイトを駆使したパーツ収集が始まったのでした。

リム
どうも情報を収集しているとマビックのオープンプロというリムが大変有名らしい。特殊合金、ブレーキ当たり面をCNC研磨、リム継ぎ目は熔接。軽くて剛性が高く、素人が組んでも精度がいいホイールができるとのこと(この段階では精度とは何か?はよく分かっていない)。銀色のものもあるし、これでいいかと通販サイトを物色。調べるうちに、表面がグレーにアルマイト加工されたCDと呼ばれる物もいいなと思い始め、最後まで迷いましたが、結局Chain Reaction Cycles(CRC)というサイト(商品ページ)から銀色のものを通販で取り寄せることに。1あたり国内で買うより2000円程度安く、2本で4000円、結局関税を1800円ほど払ったので、あんまり得にはなりませんでした。12000円くらいの商品に関税が1800円なので、結構税率高いですね。

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ハブ
シマノのハブにすると決めていました。滅多に買う物でもないし、どうせならいい物をということで、ロード用の上位グレードを物色。価格とグレードを見比べた結果、上から2番目のUltegraにすることに。現行モデルは11速でグレーなので、1モデル前の6700という物を探したが、スポーク本数32本の物はどこを見てもない。結局インターネット上を探し回ったあげく、前のハブを国内の通販サイト(どこだったか忘れてしまった…。)と、後ろのハブをリムと同じく海外の通販サイトCRCから購入。

スポーク
通勤とツーリング用で、重くなってもいいから頑丈なやつをと国産、星工業製の太さ2mmのスポークを購入。ホイールとハブの寸法から長さを決めなくてはならないので、買ったのは一番最後になりました。ちなみに買ったのはタキザワサイクルというお店(URL)。結構地元の有名店らしいです。カタログを一緒に送ってくれました。昔の名残かな?インターネットは小売りを変えたんだなぁと思ったものでした。

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工具 面倒なので、ほとんどAmazonで買いました。いずれも必要十分、万全に働いてくれました。残りの工具は手持ちのものを使いました。
振れ取り台 → 折りたためるミノウラの振れ取り台FT-1を無難に購入。センターゲージもついてます。
スポークレンチ → ParkToolの物を。特に不便は感じず。
スポークゲージ → ParkToolの物を。定規代わりに。
緩み止め(ケミカル) → WheelSmithのスポークプレップ。これもなかなか手に入らず、Amazonに出店している別の店から買いました。

教材

ロードバイクの科学:ホイール組みだけでなく、ブレーキングの仕方など、乗り方のテクニックなんかも解説されているので、なかなかおもしろいです。
DVD
ホイール組みの達人:作業姿勢なども解説してくれるので、大変重宝しました。これ、超オススメです。(通販ページ:サイクルベースあさひ

続きます。
次:作業編

自転車のホイールを組んでみた! その1 胎動編

このブログで言ったか言わずか、筆者は自転車、特にロードバイクに乗っています。そんないい物ではなく、7年くらい前の国産メーカーのアルミバイクです。当時完成車で14万位でした。その自転車についていたのがシマノのR-500というホイールでした。安い割によくできたホイールで、まぁ通勤通学と、ちょっとしたツーリングくらいにしか使わないような自転車だったので、必要十分と使ってきました。

あるときから自転車のメンテナンスにはまり込み、とうとう手を出したいと思ったのが自転車のホイール。走っていて、前輪が左右に振れているのが分かるが直し方が分からない。どうした物かと思ったときにこの動画に出会いました。

さらに、上の動画にある「手組のホイールなら、手入れをして、直しながらずっと使える」という言葉に惹かれ、下の動画にある「ホイールの直し方は2~3本組めば分かるようになる」という言葉を聞き、ちょっとやってみたいなと思い始めたのが今年の1月。そこから情報を集めていくと、どうも新しい11速のパーツは特に後輪のハブが手組に適さないとのこと。今使っている9段変速を変えずに、そこそこグレードの高いパーツ(アルテグラとか、デュラエースとかね)で手組ホイールを組むには、今しかないかとホイールを組むことにしました。

その2 パーツ収集編に続きます。