投稿者「uterium」のアーカイブ

『 蝉丸Pの徒然仏教講座』 著:蝉丸P 挿画:田丸浩

ネット,というかニコニコ動画で積極的に活動されているお坊さん,蝉丸Pが仏教についてネットスラングもりもりで書いた入門書.
仏教の基本的な考え方に基礎知識,お釈迦様の生涯から海外の仏教事情まで,仏教を手広く扱った教養書として大変面白く,ネットにある程度親しんだ人間には読みやすく,端的に良い本だなと思いました.
あと,面白いのが「新興宗教の教祖様になれば,税金もかからず,場合によっちゃ信者の若くてかわいい女の子と色々できるんじゃなイカ(意訳)!?」という安直な発想に対して,「そうは問屋が卸さないよ,相当な鉄面皮じゃないと無理だよ.(意訳)」と.なら「実務をやるナンバーツーはどうか?」というと,「結局人の集団には違いないので,そこを上手く切りまわせる人は実社会でも上手くやれますわい(意訳)」と書かれておりました.本当に人生に一発逆転はないものだなぁと思います.
仏教の細かいディテールは正直複雑すぎて,個人的には一読で理解出来なかったのですが,「人生色々あるから,うまくいかなくなったときにインスタントな救いの手を差し伸べて,実は搾取する気満々という新興宗教につけ込まれないように,普段から信仰は持っておいた方が良いよ.」というのは個人的には本書最大の役得かなと思いました.

蝉丸Pのつれづれ仏教講座 蝉丸Pのつれづれ仏教講座
(2012/06/15)
蝉丸P

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 『Hatch (1),(2)』  著:村上かつら

村上かつら 『Hatch』 1,2巻
婚活が一般的になって,どうもそのブームに乗ってサービスが乱立した結果,くたびれ果ててしまった人たちすら出てきている日本社会ですが,その1側面を鋭く切り取ったのだろう村上かつらさんの作品.ある程度歳を取っても恋愛や異性の経験がない女性を取り扱った作品というと,女性の初々しい反応をほほえましく見守る感じの作品が多い印象ですが,これはなんというか,胃が重い作品….ネット上で戯画化される婚活女性とは違って,現代の清純化している若い人たちのデータを見る限り,積極的に恋愛を求めるでもなく,とはいえ他人が勝手に恋愛市場に呼び込んでくれるでもなかったちょっと引っ込み思案の普通の人,というのは結構いるんじゃなかろうかという気がします.
ストーリーとしては,28歳まで異性の経験がなかった主人公が,独身の叔母さんの死をきっかけに婚活を始めて一段落つくまでの顛末を描いた作品.その中で,主人公の過去が(主に母親との関係)掘り下げられ,最終的にそこと折り合いをつけることで一段落します.僕は良く分からんのですが,「母の呪縛」というテーマは女性の人生をあつかった作品において良く扱われる題材のようです.
私がことさらこの作品に引きつけられたのは,「経験のない」女性がいきなり恋愛と結婚の鉄火場に放り込まれて当惑する様子のリアルさだと思います.「しらじらしい」という文句が出てくるのですが,中学校か高校くらいの段階で経験が停止して,その後に大人の恋愛市場に放り込まれた人間には男女問わずリアルな感覚だと思います.ひのきのぼうと布の服で竜王の城に放り出される,というのは上手いたとえだと思います.
最後は多少駆け足感は感じなくもない.とはいえ主人公の成長というか,変化を確実に感じさせるラストで,清涼感があります.
時節柄盛り上がってもよさそうな作品なのに,検索してみてもあまりレビューを書いている人がいないのはなぜでしょう?生々しすぎるのでしょうか?
女性の感想も聞いてみたいもの.

Hatch 2 (Feelコミックス) Hatch 2 (Feelコミックス)
(2013/04/08)
村上 かつら

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Hatch 1 (Feelコミックス) Hatch 1 (Feelコミックス)
(2012/09/07)
村上 かつら

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『銀の匙 ~Silver Spoon~ (7)』 著:荒川弘

「鋼の錬金術師」で大ヒットを飛ばした荒川弘先生の最新作の7巻.主要な構成要素は屠殺と食事.
前巻から唐突に始まった八軒と御影の恋愛模様.作品の最初期から時間をかけて相互理解の関係を築いてきていて,意識したらいきなり恋心が起動するというのが面白いし,初々しくて良い.本巻ではさりげなく2人の距離が縮まっていく感じがするのがとても自然でいい.書かれていないけど,うれし泣きしている八軒に多分御影の方から椅子(と肩)を寄せていっていますからね.なんかそういうのが個人的にはとても好みです.
逃げる.というか戦うフィールド変えることを是と思えるようになった八軒はきちんと成長しているんでしょう.次は逃げてきた対象とどう戦うのか?ということ.立ち向かって克服するのは少年漫画だけど.現実には距離をとって折り合いをつけるとか,そういうのもあるんですよね,特に大人の世界だと.でも少年漫画だから正面から戦うんじゃないかなぁ?
「夢」というのがこの作品の1つのテーマのように思うのですが,タイトルと話の流れ的に,八軒は料理屋みたいなものをやるんではないかと思っています.当たるかどうかは知りませんが.上手いものは分かるけど上手いものを作れない兄貴に対して,八軒は上手いものも分かるし,上手いものも作れる.学力では兄貴に勝てなくても,兄貴が逆立ちしても手に入らない才能,みたいなものは確実に八軒にあるんですよね.でも本人は「勉強が楽しい」と改めて思っているし,その気持ちが多分他人を見下して悦に入る類の,ゆがんだものでないことも自覚しつつある.好きなこととできること,(現在のところ2つ)を天秤にかけて,八軒は何を自分の夢に据えるのか?今後の展開に目が離せません.あ,あと御影との関係も天秤にのってくるのかな?10代の恋愛を生涯のパートナーシップに結び付けるのは恋愛経験が少ない人間の短絡的な考え方だとは自覚していますが….

銀の匙 Silver Spoon(7) (少年サンデーコミックス) 銀の匙 Silver Spoon(7) (少年サンデーコミックス)
(2013/04/18)
荒川 弘

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『純減団体-人口、生産、消費の同時空洞化とその未来』 著:近藤修司

地方の衰退,とはよく言われる話ではあるが,実際のところどうなっているのだろうか?日本全体として人口が減少していくことはまぁわかっている訳だけれども,実際に自分たちの住んでいる町や村に,どんなことが起こりうるのだろうか?その疑問に大上段から答えた本が本書である.
タイトルの説明
本のタイトルにある「純減団体」とは,ある市町村における以下の2つの人口動態が両方ともマイナスになったものを指す.すなわち,
社会動態=(その町への転入者数)ー(その町からの転出者数)
自然動態=(その町で生まれる人の人数)ー(その町で死ぬ人の人数)
これらが両方ともマイナスになった団体を純減団体と呼んでおり,2006年時点で1844市町村中1023市町村が純減団体になっているそうである.さらに本書では,市町村が純減団体に変化するメカニズムについても考察を加えている.要は,製造業,建設業などの第二次産業の衰退によって地域経済が良くなくなり,職がないので社会動態がマイナスになる.社会動態のマイナスは若い世代から起こるために自然動態もマイナスになるというスパイラルらしい(詳しくは本書をお読みのこと).さらには今後(特に2020年代にかけて)どんなことが起こりうるのかをデータに基づいて推察してもいる.このパートは読んでいると暗澹たる気分になってきて,なかなか読み進むのがつらくなってくる….負担を追うことになる世代だけにね….
本書が何よりすごいのが,上記の考察には実際にそれを裏付けるデータがあるということである.著者は本書を書くにあたり,上記の1844市町村の人口動態などのデータを集めに集め,それに基づいて考察を行っているのである(これが上に”大上段から”と書いた理由でもある).社会学の研究として,やっている人がいそうなものだがどうなのだろうか?
ちなみに本書の1/3程度が,市町村,特に東京などの大都市圏以外の市町村が人口減少期をいかにサバイバルするかについての提言が占めている.これもまた,地方の衰退を間近で見ているが故の情熱が感じ取れる.
地方,地元の衰退に心を配る諸兄には,是非ともおすすめしたい一冊といえると思う.多少お高めではあるが,(どんな本でもそうなんだろうけど)書く労力に値段が釣り合ってないような気がする.

純減団体-人口、生産、消費の同時空洞化とその未来 純減団体-人口、生産、消費の同時空洞化とその未来
(2011/01/11)
近藤 修司

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『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』 著:赤城大空 挿画:霜月えいと

赤城大空さんという方のデビュー作,何でも小学館ライトノベル大賞の優秀賞受賞作だそうで.受賞時のペンネームは「ペロペロ山根」トバしてますねぇ.有川浩さんの『図書館戦争』は言葉狩りがされた世界に関する素晴らしい思考実験だったわけですが,目の付け所はあの作品ばりにシャープだと思います.

岸田秀は「人間は本能が壊れた生き物である」と言っていて,人間の繁殖行動が「交尾」ではなく「セックス」である以上は,それが何らかの形で社会的に教育されないとマズいんだろうと思うわけですが,サブヒロイン?の暴走はまさにダメだという想像力を喚起するものでした.この辺の考察は見事.

作中で言われているように,人間が死ぬメカニズムは子どもにも教えられていて,人間が増えるメカニズムは教えられていない,でも大人は知っていて,人間は増えている.このミッシングリンクが社会的にどう埋められるのか?というところは興味があります.そこまで踏み込んじゃうとお気軽に読めるライトノベルじゃなくなってしまうのかな?

セックスレスと少子化で困ってる?世の中,「愛し合う人間同士がセックスすることは,気持ちいいし男女なら人間増えるし素晴らしいことだよ,みんなもっとセックスしよう!」くらいはっきり言ってしまって,その上で産まれてきた子どもが最大限幸せに大人になれるように諸制度を整えるくらいやっても良いと思うんですけどねぇ.私はそう思いますよ.

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫) 下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)
(2012/07/18)
赤城 大空

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性的唯幻論序説 (文春新書) 性的唯幻論序説 (文春新書)
(1999/07)
岸田 秀

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図書館戦争  図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫) 図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)
(2011/04/23)
有川 浩

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『放浪息子 13』 著:志村貴子

昨年のアニメを見て買い始めたにわかな私ですが,相変わらず思春期マンガ(≠青春マンガ)の白眉です.
12巻以来それまでと少し変わったのかな?と思う点が2つあるので書いてみたいと思います.

1つ目は「かっこよさ」について.12巻以来「かっこいい」という単語が,様々な場面で,通念上の使われ方とは違う使われ方をされています.例えば,二鳥君に関して言うならば,姉の真帆は,文化祭で女装をしてファッションショーに出た二鳥君を「かっこいい」といい,マコちゃんは度胸のある彼を「かっこいい」といい,あんなちゃんは男らしくなって行く彼を「かっこいい」というのです.高槻くんも,ファッション誌の女性モデルを見ながら,「かっこいい」というのです.見た目も性格も非常に通念的に言うところの女性らしい二鳥君が,様々な場面で「かっこいい」と言われ,社会通念上の女性のイデアと言ってもいい女性ファッション誌のモデルが「かっこいい」と言われる,スタジオジブリのアニメ映画『紅の豚』の「カッコイイとはこういうことさ」というキャッチフレーズで使われていたかっこいいとは,明らかに違った意味,男性という概念からかっこいいという概念が切り離されてしまっています.この作品の近刊2冊を読んだとき,自分がいつの間にか男性性とかっこいいという形容詞を不可分のものだと思い込んでしまっていたことに気付きました.この作品は思春期の解体と再構築を通して,男性,女性と言う概念と絡まっている様々な概念(男装,女装,かっこいい,かわいい)を切り離して再構築しているのだなぁと思うのです.まぁ気持ち悪いという人もいるのだろうけど,僕は非常に面白い試みだな,と思います.

2つ目は,「大人になること」について.思春期とは,子どもから大人になるまでの過渡期とも取れると思うのですが,二鳥くんは作中で子どもから自分になって,いよいよ大人(社会的な存在)になろうとしているのだなぁと感じます.だから,12巻でユキさんが18になるまでダメよ,と言って,13巻で二鳥くんがある種「常識的」な人生を歩いて行った先にあるのであろう「みいたんのパパ」が出てくるんでしょうね.せっかく自分は自分,と胸を張れるようになった二鳥くんも,また放浪ですよ.あと,思春期を描く上で外せないであろう肉体的な性の話です.あぁ,二鳥くん,君もついに大人になってしまうんだね,という気分.まさに,社会と折り合いを付ける,肉体関係を持つ,の両面で,大人への階段を着実に登って行く感じです.

淡々と綴られる作品ですが,直近静かに着実に盛り上がって行く感じの本作品,続きは9ヶ月後です.二鳥くんがあんなちゃんとどんなセ(ry

放浪息子 13 (ビームコミックス) 放浪息子 13 (ビームコミックス)
(2012/05/25)
志村貴子

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放浪息子 12 (ビームコミックス) 放浪息子 12 (ビームコミックス)
(2011/09/24)
志村貴子

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『19 Rooms』 著:鶴田 直樹、 菅付 雅信

フラッと立ち寄った心斎橋のStandard BookStoreで,たまたま編集者の菅付雅信さんという人が講演会をしていて,そのときに話題に出ていたので買ってみた写真集.
広末涼子さん,戸田恵梨香さんなど,2009年当時のいろいろな有名女優さんが被写体になっているオムニバス写真集です.
グラビアなんかにありがちな明るくて健康的な女性美というよりはどことなくけだるげで湿った感じがして,プライベートな関係にないと拝めなさそうな(体毛の生え方や肌の肌理が分かる)距離での接写が結構あります.笑顔の写真がないのも特徴的.なんでも,リングストロボで接写をすると,どことなく上気したような肌の質感が撮れるとかなんとか.写真技術の詳細は分かりませんが,確かにグッと来るものがあります.
人を選ぶ気もしますが,いろいろな女優さんが出ているし,一見の価値ありかと.表紙に出ている麻生久美子さんの写真が特に良かったです.

19 Rooms 19 Rooms
(2009/11/12)
鶴田 直樹

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『天冥の標IV 機械仕掛けの子息たち』 著:冲方丁

作者は小川一水さん.個人的には『第六大陸』の人です.エロエロと聞いて読んでみましたが,確かに全力投球ド直球のエロでした.
宇宙船事故にあった主人公(男)が目覚めると目の前に裸のヒロインが.欲望に突き動かされて彼女と交わってみると,彼女は有機素材でできたセクサロイドで,主人公が目覚めた場所は小惑星丸ごと娼館.色々あって,主人公とヒロインは究極のセックスを目指して身体を重ねる…というのが主なストーリー.枝葉末節はあれど要はセックスしているだけというね….
とはいえ,いわゆるフランス書院的な官能小説とは違って,性科学をサイエンスするSFというか,そんな感じ.哲学的な趣すらあるような気がします.お互いに真顔で淫語を言っちゃう感じというか,純粋に,真面目に快楽を追求する姿勢は個人的には好感を持てます.そっちの方が確実に人生楽しめますよね.ありとあらゆるセックスの可能性が追求された挙句の結末は,「あ,まぁたしかにねぇ」という感じ.
シリーズをずっと読んでいるわけではないので,他の話とのつながりは良く分からないのですが,まったく分からない固有名詞が出てきているのは他の巻で説明されていたりするのでしょうね.

天冥の標?: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA) 天冥の標?: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)
(2011/05/20)
小川 一水

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『マージナル・オペレーション 01』 著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

ガンパレードマーチの原作者 芝村裕吏先生の新作
30歳ニートが一年発起して就職したのはPMC,要は傭兵稼業.どうにもめぐりあわせが悪くて,適性がないと日本の職業社会からはじき出された主人公だったが,意外な才能を開花させて…という作品.まぁそんなにすんなりとはいかないのですが….
冴えない僕に隠された才能が,というのは中二的な妄想の最たるものでしょうが,なかなかどうしてこの作品は地に足がついているような気がします.才能だけで物事が自分の望む方向に転がることはないというのは,ある程度歳を取らないと分からないことのような.こちらで言われているように,ある程度年齢層高めの人向けの作品なのだろうな,という感じ.
地に足がついた,とか身も蓋もない,という形容詞が良く似合う作品ではありますが,ちゃんと女の子が出てくるのは安心していただきたいというか,ちゃんとエンターテインメント作品です.ジブリールちゃんマジ天使.
ちなみにここから試し読みできます.
01ということで続編の予定があるようで,非常に楽しみです.

マージナル・オペレーション 01 (星海社FICTIONS) マージナル・オペレーション 01 (星海社FICTIONS)
(2012/02/21)
芝村 裕吏

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『アゲイン!!(2)』 著:久保ミツロウ

1巻から2カ月,久保ミツロウ先生の新作第2巻です.
チアリーディング部の策略でアゲイン前と同じく崩壊の危機にある応援団の運命は!!という話です.今巻も面白いです.
久保先生は「現役の中高生に向けて」この作品を描いていると書かれていて,それの一端が見えた気がしました.
「恥ずかしさの向こうに行ければ,世界が変わる.」
結局これなんですよね.自分の人生の可能性を一番制限しているのは自分の,特に羞恥心だったりするんですよね,多分.だから久保先生は思い切ってちょっと一声かければ,一歩踏み出せば,すごく世界が変わることがあるよと,恥ずかしさの前で立ちすくんでいる現役の中高生に,こうメッセージを送るんですね.でもこれって,僕らのような大人が「あったかもしれない青春」を延々反芻することで行っている,過去への呪いのそのものです.
でも僕は,この台詞を少しポジティブに考えたいんです.青春をやり過ごしてしまった人間にも,今から自分の人生をどう楽しくするか,というメッセージになりうる気がするのです.現役青春中の方々のようながむしゃらさやエネルギーはなくても,諦めや妥協,みたいな大人のスキル込みでやってける分,大人は強かなのです.

「十年後にはきっと、せめて十年でいいからもどってやり直したいと思っているのだろう。今やり直せよ。未来を。十年後か、二十年後か、五十年後からもどってきたんだよ今。」

結局これから先死ぬまでのうちで,今が一番若くて可能性があるときなんですよね.過去はどうやったって変わらないんだから,「ありえたかもしれない青春」を反芻するのは,時々くらいにしておいた方がいいと思うのです.多分そういうことなんだと思います.
とはいえ逆に,アゲイン前は「リア充」だったはずの暁はちょっとした手違いで,絶賛暗い青春におちていきます.まさに対照的で,「リア充」と「非リア充」の境目なんてそんな大したもんじゃないんだぜ,ということなのかも知れません.

アゲイン!!(2) (KCデラックス) アゲイン!!(2) (KCデラックス)
(2011/11/17)
久保 ミツロウ

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