1巻から2カ月,久保ミツロウ先生の新作第2巻です.
チアリーディング部の策略でアゲイン前と同じく崩壊の危機にある応援団の運命は!!という話です.今巻も面白いです.
久保先生は「現役の中高生に向けて」この作品を描いていると書かれていて,それの一端が見えた気がしました.
「恥ずかしさの向こうに行ければ,世界が変わる.」
結局これなんですよね.自分の人生の可能性を一番制限しているのは自分の,特に羞恥心だったりするんですよね,多分.だから久保先生は思い切ってちょっと一声かければ,一歩踏み出せば,すごく世界が変わることがあるよと,恥ずかしさの前で立ちすくんでいる現役の中高生に,こうメッセージを送るんですね.でもこれって,僕らのような大人が「あったかもしれない青春」を延々反芻することで行っている,過去への呪いのそのものです.
でも僕は,この台詞を少しポジティブに考えたいんです.青春をやり過ごしてしまった人間にも,今から自分の人生をどう楽しくするか,というメッセージになりうる気がするのです.現役青春中の方々のようながむしゃらさやエネルギーはなくても,諦めや妥協,みたいな大人のスキル込みでやってける分,大人は強かなのです.
「十年後にはきっと、せめて十年でいいからもどってやり直したいと思っているのだろう。今やり直せよ。未来を。十年後か、二十年後か、五十年後からもどってきたんだよ今。」
結局これから先死ぬまでのうちで,今が一番若くて可能性があるときなんですよね.過去はどうやったって変わらないんだから,「ありえたかもしれない青春」を反芻するのは,時々くらいにしておいた方がいいと思うのです.多分そういうことなんだと思います.
とはいえ逆に,アゲイン前は「リア充」だったはずの暁はちょっとした手違いで,絶賛暗い青春におちていきます.まさに対照的で,「リア充」と「非リア充」の境目なんてそんな大したもんじゃないんだぜ,ということなのかも知れません.
アゲイン!!(2) (KCデラックス) (2011/11/17) 久保 ミツロウ |