『非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か』 著:杉田俊介


山本五十六の「男の修行」という言葉が残っているそうです。

苦しいこともあるだろう。

云い度いこともあるだろう。

不満なこともあるだろう。

腹の立つこともあるだろう。

泣き度いこともあるだろう。

これらをじつとこらえてゆくのが男の修行である

というもの。「じつとこらえて」というのが実のところあんまり良くなくて、挫折した男性が人生そのものを持ち崩しやすかったり(STAP細胞ねつ造事件で小保方氏の上長だった先生も自ら命を絶たれました)、中高年の独身男性の自殺者数が有意に高かったり、非正規雇用の男性の有配偶者率が低かったりといった、現代の日本社会における優遇や男性ジェンダーにもたれがちな「強い」イメージと裏腹の、男性の弱さを示す現象の原因だったりします。本書は、まさにその男性の弱さについて語った本です。本書では「自分の弱さを認められない弱さ」とされています。ねじくれていますね。割と同じ事を繰り返して言っていたり、冗長なところがありますが、各男性が自分の弱さを認めることと同時に、男の弱さを日本社会の中で語ることの難しさを表してもいるのでしょう。著者の個人的な思いがあふれているのかもしれませんが。

個人的に特に印象深かったのは補論1の「非モテの品格」で、以下のような一節が綴られています。

たとえ誰からも愛されなくても、前を向いて生きていく。(中略)悩んで、苦しんでいい。涙を流せずに泣いてもいい。だけど、それをこじらせすぎちゃいけない。他人をねたんでいいけど、恨むところまではいかない、そんな曖昧な場所にどうか踏みとどまってほしい。ぐらぐらと躓き続け、ふらふらと迷って葛藤する道を選んで、せっかちな暴力に身を委ねたりしないでほしい。
小さな自負と誇りを積み重ねながら、自分が歩んできた道に対する自己尊重を一歩ずつ身につけながら、海辺で拾った小さな貝殻やガラス片のように溜めこみながら、悲しみの中でそれでも前を向いて生きていく。

黙って耐えるのでもなく、茶化すのでもなく、周りに当たり散らすのでもなく、自分を男性として承認してくれる存在がいなくても、自分の男性性と、男の「弱さ」を認めて生きていく。この章はいわば、21世紀日本版の「男の修行」だと感じました。(どっちかというと「非モテ男の修行」かもしれませんが。)

こんな本を読むのは、男性として順風満帆に人生を謳歌して「いない」人でしょうが、人生一寸先は闇、いつ自分の男性性を揺るがすライフイベントが起こるか分かりませんから、順風満帆な男性諸氏も予防接種として読んでみたらいいのではないでしょうか?すぐにピンとくるかどうかは別として、自分の生き方を見直す上で、役立つときが来るかもしれません。女性も、身の回りの困った男性、取るに足らないような男性も、実はこんな「弱さ」を抱えているのかもしれないと気づくかもしれません。もちろん、あなたにその男性を救ってあげる義理なんてこれっぽっちもないんですが。

ちなみに昔読んだ男性の生き方についての本はこんな感じです。いずれも良書でした(このブログに書く場合面白かった本しか書きませんが)。

すべてはモテるためである 著:二村ヒトシ

平成オトコ塾 悩める男子のための全6章 著:澁谷知美
  


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