『ロード・エルメロイII世の事件簿 case.冠位決議(中)』著三田誠 挿画:坂本みねぢ

本作も気づけば数年に渡って出続けているわけですが、ついに最初の事件から主人公の宿敵として暗躍し続けたドクター・ハートレスの真意が明らかになります。

本シリーズ、特に途中からはこれはどうやって着地点に至るのか、などと恥ずかしながら物語を読めてない感じだったのですが、今巻にてやっとこ理解が追いついたというか、ロード・エルメロイII世あるいはウェイバー・ベルベットの物語は、結局そこなんだよなと思わせる展開になりました。

冬木の聖杯を解体するエルメロイII世と、イスカンダルに未練たっぷりの本シリーズ冒頭のエルメロイII世を見比べると、世界のためにヒロイン(イスカンダル)との縁を断ち切るギャルゲーの主人公的なエルメロイII世が見えてきてなかなかエモいわけですけど、『Fate/Stay Night』から見たとき、『Fate/Zero』とはまた違った外伝として読めるのかしら?などと思ったりします。(先の展開が予想していない方向に行く可能性もありますが。)Zeroからすると、ヒロイン(ウェイバー)が主人公になる外伝みたいでもあり……。

キャラクターの造形として、自己の適性や年齢なりに成し遂げてきたキャリアと、自分の理想像にギャップがある自己受容度の低さがエルメロイII世の魅力なので、結局そこは崩れないんだろうと思っていますけど、一皮剥ける(のであろう)エルメロイII世の姿がとても楽しみです。

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