二十台の前半の頃は本当に頭でっかちだったなと思います.「理性」で何でも何とかできると思っていたのです.一種の中二病だったのかもしれないです,大学生なのに….二十台の半ばくらいでどうも理性だけでは上手くいかないなぁと言うか,「感情」の存在の大きさに気づき.今はだんだん20代前半に比べると無理が利かなくなってきて,「体」の影響が結構あるんだなぁと思い始めています.
ということで,鴻上尚史さんの『孤独と不安のレッスン』です.ドキッとするタイトルですね.僕もなんて自分にぴったりくるタイトルなんだろうか,と思いました.むしろ自分に引きつけすぎていて,レビューが上手く書けないです.
要は,孤独と不安と他の人から人間はどうあっても逃れられないのだから,それと上手く付き合う方法を探しましょうという本です.本書では,孤独には「本物の孤独」と「ニセモノの孤独」が,不安には「前向きの不安」と「後ろ向きの不安」が,他の人には「他者」と「他人」があるとして,まずはそれらを区別することから始めます.本書では,前者をいかに取り扱うかが孤独と不安のレッスンであると説かれています.レッスンというだけに,演劇をやっている人だけに,頭で考えるだけではなくて体を使った自分のコントロールの仕方が書かれているのが印象的でした.
頭で分かっていても,体で分かっていない言葉は軽いというか,相手に通じないというか,自分にすら通じないというか,軽いものです.レッスンと題されているとおり,この本に書かれていることもその類でしょう.おそらく生きている限り,孤独と不安のレッスンは続くのです.
孤独と不安のレッスン (だいわ文庫) (2011/02/09) 鴻上 尚史 |