前巻では毎冬に出るといわれていたTYPE-MOON世界で繰り広げられる推理劇の第2幕、その前編です。今回、最初に登場するのは本作全体の主人公ロード・エルメロイ2世の義理の妹、ライネスです。
前回は失われたエルメロイ家の魔術刻印(魔術師の家に代々受け継がれる)を修復する能力があると見込まれた修復師ゲリュオン・アッシュボーンの館が舞台でしたが、今回は「美」を通じて魔術師の本願たる根源の渦(この世の全てのものの源)に至らんとするイゼルマ家の館が舞台です。イゼルマ家が完成させた美の体現者「黄金姫」と「白銀姫」のお披露目会に呼ばれたライネスは、エルメロイ2世の内弟子グレイを伴って館に赴きます。そこで繰り広げられるのは、魔術協会内部にくすぶる派閥同士の争い。イゼルマ家が入手したらしい魔法の遺物と派閥争いをめぐる策謀に巻き込まれ、「黄金姫」殺害の嫌疑をかけられたライネスは絶体絶命、そこに現れるのはエルメロイ2世、2人の弟子。
その昔TYPE-MOONが出していた設定資料集『Character Material』で少し語られるだけだったロードエルメロイ2世襲名の様子や、魔術協会の内輪もめなど、相変わらずあの世界の魔術師業界の事情がたっぷり語られます(色々設定資料集が出ているはずなので、その辺読めばすでにファンの間では公知の事実なのかもしれませんが)。
まだまだ話としては事件編という感じ。冬コミまで後4ヶ月ですね。事件といいつつ、何せ何でもありの魔術師ですから、結局真相はどうなのか?本当に黄金姫が殺されたのかすら微妙になりそうなキャラクターが出てきていますから、何がなにやらという感じです(ファンなら表紙を見れば分かりますよね?)。
疑問なのですがこの作品、魔術やら魔法やらに造詣の深い三田先生なので、実は作中で語られる魔術知識を読み解けば、犯人や真相が分かるようにできていたりするのでしょうか?