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『平成オトコ塾 悩める男子のための全6章』著:澁谷知美

男と女,どちらの方が生きるのが大変か,とはよくある問いです.結論から言うとどちらもそれなりに大変なんでしょうし,それは自分がどのように生きたいのかということと密接に関係があるように思います.もしその大変さが「常識」みたいな社会が決めた枠のようなものに端を発するならば,常識を覆してその枠を取り外すのが学問の本懐というものでしょう.
ということで本書『平成オトコ塾 悩める男子のための全6章』は副題のように,男性が「生きづらい」と感じる原因になりそうないくつかの「常識」に疑義を投げかける本のようです(こういう研究分野を男性学というそうで).
この本のなかでも特に1~4章は「弱みを見せるな」という男性に対する社会的な圧力のようなものからいかにして自由になるか,ということを述べているように思います.確かにそう簡単に弱音を吐いてたまるか,みたいな意地は自分にもあるような気がします.最後の二章の下ネタ的な話(包茎と性風俗の話)は,今のところお世話になる予定がないので個人的に役立つかは微妙な感じです.こういう話大好きですけど.
苦言と受け取られることを危惧してか相当注意深く言葉を選んでかかれているように感じました.非常に読みやすく丁寧な文体でした.それでいて普段の思い込みを覆されるようなことがかかれている面白い本でした.
2chの一部的なヘイトスピーチを読み飽きたら,読むと面白いかもしれません.

平成オトコ塾―悩める男子のための全6章 (双書Zero) 平成オトコ塾―悩める男子のための全6章 (双書Zero)
(2009/09)
澁谷 知美

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『あなたの苦手な彼女について』著:橋本治

「男からすれば、自分が性的な興味を抱くような女しか目に映らないのさ」みたいなあおり文句から、最初「男女平等」と「好きな女性の取り扱い方」に見られるような、男女関係のダブルスタンダードというかそういったものを指摘するのかなと思ったのですが、まぁそれにとどまらなかったという本でした。
女性の社会参加についての指摘など、現代特有にみえる様々な社会現象も、戦後の時代の流れの中でとらえると必然的に生じた現象であるように解釈できるというのが、毎度の事ながらこの手の新書らしくて面白かったですね。
一つのテーマに絞るのでなく、主に女性の社会参加的なことについて著者の雑感をつらつらと書いているので、個人的には新書というよりもエッセイと言った印象を受けました。悪く言うと、議論の焦点が定まっていない印象を受けて、かつ文章が冗長。

あなたの苦手な彼女について (ちくま新書) あなたの苦手な彼女について (ちくま新書)
(2008/12/10)
橋本 治

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