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『ROOM NO.1301 1~4』著:新井輝 挿画:さっち

少し前ですが、大変エロいと評判になった小説です。
彼女とは手もつなげないくせに複数の女性と関係を持ってしまう男のお話です。主人公含め13階(タイトルの1301は部屋番号)の住人の壊れっぷりというか、感覚のぶっ飛び方は非常に興味深い。その辺りから来る作品の雰囲気だけで個人的には続きが読めます。

あともう一つ、評判に偽りはありません。全年齢向けのエロといえば「寸止め」が代表的でしょうが、そっちが青少年的なもどかしさを演出するのに対して、こちらは「中抜き」、事前と事後しか書いてません、それがまた大変湿っぽい。とはいえその湿っぽさが全体の雰囲気に繋がってる部分もあるんだろうなと思いますよ。レーベルの制約もあるんだろうけどそれを逆手にとってて上手いなぁと。
つづきもいずれ読みます。

「聖者の異端書」 著:内田響子

作者は内田響子さんという方。
「狼と香辛料」のような、登場人物がものを食べていそうな感じのするファンタジー。キリスト教的な一神教が存在する世界が舞台。
合理的な考え方ができすぎてしまう自分に悩む小国のお姫様が主人公。結婚式の当日に相手が消失、いろいろな人から死んだことにしろと言われるが納得できずに探しに旅に出る。その旅程を手記のような形で綴ったお話。
個人的には上に書いた、主人公の逡巡と、タイトルの「聖者の異端書」というある種矛盾した文言の秘密が良かったと思いました。
狭いとはいえ色々な地域を旅するのですが、一巻完結なので個々の描写は薄め。
タイトルに引かれて手に取りましたが、当たりでした。