『戦争めし』著:魚乃目三太

突然だが、あなたは飢えたことがあるだろうか?筆者にはない。食べたいと思った物がどうしても食べられないという経験はどうだろう?よほど珍しい食材でもない限り、今の日本ではあり得ないだろう。現代の日本を飽食の時代(それももう当たり前すぎて死語かもしれない)と呼ぶ人がいるが、現代のような状況は、70年前には概ね想像もつかないようなものだったのだ。

……ということで、今回は魚乃目三太先生の『戦争めし』です。第二次世界大戦中の日本で、食べ物に関するエピソードを集めた短編集です。南方のジャングルの中でカツ丼作って食べた話や、空襲下で寿司を食べた話、満州で食べた餃子を復員してから再現した話など、物資の乏しい戦地や銃後の生活の中で、必死に「旨いもの」を食べようと必死になる人々の姿が描かれます。なんというか、みんな本当に旨そうにものを食べているのが印象的です。食べ物の量や種類に乏しい生活の中でようやく…という状況でおいしいものを食べるので、食べた人は涙を流しながら食べるのです。読んでいたら時々、つられて涙が出てきました。

「食べるものに困らない」ってありがたいことなんだなと思い出すことができる一作です。ちなみに発売日は終戦記念日です。

 

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