『灼熱の小早川さん』 著:田中ロミオ 挿画:西邑

田中ロミオ先生の新作.しかしヒロインがメガネ,黒髪,委員長,どんだけ俺を萌え殺す気かと.
この作品を読んでいると,高校2年の時のクラスを思い出す.思い返せばこの作品の1年B組のような感じで,割と居心地が悪かったのだ.多分個人個人は善良だったのだけど,集団行動に無気力で規律や秩序はない,みたいなね.
勉強,スポーツ,人間関係,何事もそつなく器用にこなす主人公飯嶋直幸は,入学した高校でヒロイン小早川千尋に出会う.学級崩壊気味のクラスに掉さした彼女と深くかかわることになった主人公は…という話.
ヒロインを好きになった主人公の気持ちはすごく分かる.というか頑張ってる女の子の余裕のない様子を見たら,なんとか力になってあげたいとか思って好きになってしまうわい.往々にして,男の側の勘違い空回りだったりするけどな!
ヒロイン観察系,というあおり文句のとおり主人公の心理描写は比較的あるんだけど,ヒロインの心情は主人公がたまたま見つけたヒロインが管理人のブログへの書き込みでしか語られず,そしてそれは途中から出てこなくなる.ラストが駆け足なのは多分そのせいで,あそこはまさにずっと小早川さんのターンなのだ.あそこで彼女が何を考えているのか?ということを想像するのは個人的には楽しかったけど,逆に彼女の一人称で補完する話を読んでみたいなぁとも思う.きっと自分の気持ちと,主人公の裏切りと,自分を助けてくれたという事実で,心は千々に乱れたのだろうな.
タイトルとモチーフは明らかに『灼眼のシャナ』だよなぁと.炎の剣だし….
色々掘り下げが足りない気もするけど,田中ロミオの流れるような筆致に加えて,とにかく小早川さんが可愛い.久しぶりにグッと来てしまった.
あと,ヒロインは絶対ムッツリスケベだと思う.

灼熱の小早川さん (ガガガ文庫) 灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)
(2011/09/17)
田中 ロミオ

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