『驕れる白人と闘うための日本近代史』

自分は一応理系でして,歴史の暗記科目っぷりに嫌気がさして,地理に逃げ,理系に走ったクチです.という訳で最近歴史をもう一回勉強しようとして読み始めたのがこの本です.
教科書問題でも話題になりますが,なぜ日本の歴史というのはいわゆる「自虐史観」的になるのでしょうか?その理由は日本が近現代において二回敗北している(一度明治維新のときに西洋文明に屈し,そして第二次大戦で敗北した)ことにあるのでしょう.この本はそんな日本の常識的な歴史の語り方を大きく逸脱した近代史(江戸~明治時代)の本です.
内容を要約すると,近代~この本が書かれた時期までの一般的な欧米人の感覚とは大きく異なり,日本には独自のかなり高度な文明,社会が存在していたのだ,ということです.たとえば日本の農民は西洋の農奴とは大きく異なるものであった,とか行った感じで,言われるままに自分たちの歴史をいたずらに下に見る必要はないと説きます.
驕れる白人,とタイトルにあるように,かなり攻撃的な調子で書かれているように感じます.たとえば欧米人は日本に対して「技術だけ盗みやがって」などと言っていたわけですが,彼らを文明の勝者たらしめた科学技術はそもそもイスラム世界に保存されていたものを十字軍で収奪してきてアレンジしたものなわけで,そのことを差し置いてジャパンバッシングするのは傲慢ではないの?というわけです.
確かに西洋文明は文明戦争(そんなものあるのか?)の勝者であり,科学技術+資本主義は問題を含みつつも史上最も多くの人たちを養うことに成功しています.そんな勝った文明側の欧米人が,今も上から目線で日本のことをみているのかはよく分かりません.この本が書かれたのは1989年であり,それから20年で日本のポップカルチャーが輸出されたり,日本の経済的な地位が低下したりと状況は変わっており,自分で確かめてみないと分からなくなっているように思います.
優等生的な回答をすると,過去のことでよその国の人とむやみやたらにケンカをするのは生産的ではないですが,バカにしてくる相手に一矢報いられるだけの歴史の教養と語学力はこれからもっと重要になるんでしょうね.その歴史の教養が,一部のマニアの物になってしまっている日本の現状ってどうなんでしょうね.自分も不勉強組に入る同じ穴のムジナなわけですけども.

驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫) 驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫)
(2008/09/03)
松原 久子

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