ある意味きわめてリアルで、かつ限りなくフィクションである妹がでてくるシリーズ。今回はオタクを扱う作品では避けて通れないアレの話です。
一応気を使ったつもりですが、うまくネタバレ回避できている自信ががないんで未読の方はご注意を。
この作品の売りとして、フィクションなんだけどリアルなディテールがあると思っていて、それが前回は妹の桐乃と兄貴の京介の関係だったわけですね。じゃあ今回は何かというとオタクが背負ってる原罪というか、世間との関係って奴です。
そりゃあね、成人向け云々ってので肩身が狭いのは事実なんだけど、でも大抵のオタクは誰に迷惑をかけるでもなく、ただ余暇時間を自分の好きなことに当てているだけなんですよね。自分で作品を楽しむ、あるいは気の合うオタク友達と楽しむってだけならすごく楽しい、それこそオタクで良かった、この世は天国なんではないかという陶酔感ってこの人種をやってるなら少なからず経験があるんではないかと思います。
ただね、娑婆との関係ではそう簡単にはいきません。具体的に言うと一般人の友達だったり、年取ってから目覚めたのなら昔のクラスメイトとか、職場とか。M事件とかのせいか、日本の世間はオタクに厳しくて、実際はマシになってきていても、娑婆で自分がオタクだと認知されることには非常に抵抗感があると思うのです。嫌われるんじゃないかとかさ。いざそうなったときにオタクやめるのか、世間から逃げるのか、隠れるのか、開き直るのか、オタクとして生きるということを決意した瞬間から向き合わなきゃいけない問題なんではないかと思います。オタクって、割とお手軽にハッピーになれる分、人生の難易度は高くなる気がします。
さて閑話休題、今回は桐乃がその問題と戦います。そして兄貴の京介はそのために体を張ります。えぇ、兄貴ですからね。すごくテンプレートで上手く行き過ぎなんだけど、逃げない桐乃はカッコイイし、京介もすごく兄貴です。
でも京介が妹のために全力で体を張れるのは、幼なじみの麻奈実との絶対にお互いを裏切らないっていう信頼関係があるからだったりすると思うので、この作品で一番すごいのはきっと彼女なんだろうな。
もうちょっと読みどころがあったりするんですが、こんな感じで。
次回がどんな感じになるのか楽しみです。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫) (2008/12/05) 伏見 つかさ |