『フルメタル・パニック! アナザー7』 著:大黒尚人 挿画:四季童子

本作の前身であるフルメタルパニック!の面白いところの1つは、少年向けエンターテインメントの定石である「戦闘能力の向上」という現象があまり表に出ていなかった(主人公の相楽宗介が、少年兵出身であるために最初から熟練の兵士という設定)事のように思える。まぁ、逆に単なる戦闘兵器(少年兵)から、ある意味で普通の人間へと回復していく過程が彼の成長となったわけだけども。で、本作が商業的な理由以外にどのような意図で始まったのかは置いておいて、単なるAS(Arm Slave:本作における搭乗型ロボット兵器)の試作機、派生機、発展機の紹介ではない、本作独特の方向性にいこうとしているように思う。

戦いを生業にする人の一つの山が、「最初の殺人」だというのはどこでだかは知らないけど良く言われる事なんだけれども、どうもここ2話くらいそのテーマが主題に挙がっているらしく、個人的にはとても楽しんでいる。前作ではその辺を戦士の不文律と呼んでいた気がするが、前作では描かれなかったその辺りが、どのように描かれるのか、今後も楽しみである。

ところで、主人公と、彼と同じ引き金を引いた菊乃の2名は戦士の最初の一山を超えられたのだろうか?どうもそうではないような気がしてしまうのだよな…。勿論作中でも戦ってるんだけど、じゃあ次、目の前にいる人を撃たなくてはならなくなったときに彼らはためらいなく引き金を引けるんだろうか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください