『りはめより100倍恐ろしい』著:木堂椎

「いじ」りは「いじ」めより100倍恐ろしいというタイトルだそうです。
この作品が書かれたときには作者は現役の高校生だったということで、なんとも繊細な言語感覚をもった高校生がいたもんだなぁと思います。口語体で語られる物語がリアル過ぎて、自分がその場にいるような気になって気分が沈んでしまいました。それぐらいのリアリティがある作品ってことなんでしょう。
話の流れからして、結局主人公たちを虐げようとした「強者」が一番悪いのではなく、人が集まって一定以上の空間的、時間的な密度を持った関係が生じると、虐げる、虐げられる構造が自然に出来てしまうということが言いたいのでしょうか?何となくそんな気がします。とすると、そういう関係の向こう側に行くためにはどうしたら良いのかとか考えてしまいました。夏目漱石や吉田兼好のように、厭世するしかないのでしょうか?その点、大人になればある程度所属するコミュニティを選べるのに対して学生は辛いよなぁなどと思ってしまいました。
しかし作中で行われている行為はいじりというよりはいじめの域に入っている気がしてしまうのは俺が弱いからでしょうか?あれは絶対いじめだって!

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