『こころ』著:夏目漱石

すまん,漱石舐めとった.
言わずと知れた名作ですが,なんというか文豪の感受性の鋭さと日本語の巧さに衝撃を受けました.しかし,何と救いのない話なんでしょう.
まぁ人間に対する感覚が鋭すぎる人だったのは確かなのでしょうが,先生は奥さんを本当に愛していたのか疑問です.大切に思っていたことは事実でしょうが,それにしても奥さんの愛情を甘く見過ぎのような気がします.他者ときちんと向き合えてないところがすばらしく現代的です.自分にも思い当たる節があるよなぁ.
いつだったか中高時代に教科書で読んだ時は何も感じなかったのですが,今や50ページ読むと気分が沈んで続きを読む気がなくなる始末.読み終えるのに苦労をしました.当時の国語の教師が「暗いけれどすばらしい作品です」と言っていたのがよく分かりました.先生,あんたの言うとおりだったよ.
この作品から受けた衝撃たるや「いろいろな作品を読んで大抵の物には動じないぞ」と防弾チョッキを着た気でいた所に,ライフル弾が貫通したくらいのものでした.
ほんとうに,まだまだこの世には面白いものが満ちているに違いありません.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください