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『スクールカーストの正体 キレイゴト抜きのいじめ対応』著:堀裕嗣

「スクールカースト」という単語を知っているでしょうか?主に中等教育の学級、学校において、学生達が暗黙的に、お互いに格付けし合った結果として生じる階級構造のことです。米国だと大抵アメフト選手のジョックス、チアリーダーやってるクイーンビーを頂点に、下層にギーク(技術オタク)やナード(アニメ・マンガオタク)が位置する的なアレです。

本書は、このスクールカーストについて非常に的確な分析と、そこから生じる現代の「いじめ」の対策をいかに取るべきか、という指針について書いたものです。筆者は中学校教師を長く務めて、著述活動も結構やっておられる方のよう。筆者によるスクールカースト分析の解説としては、非常に良質な解説記事があるので、そっちをご覧ください。

現実を抽象化して類型化するという作業は、学問において基本的な作業です。自然科学の場合は再現性が良いことが多く、工学に応用されて製品として使われる場合があります。人間が絡むととたんに再現性が悪くなるわけですが、そういった領域においても、抽象化された理論を学び、物事の道理をわきまえれば、現場での微調整によって問題の解決が非常に容易になるということがあるのだと思います。(とはいえ、現場での応用力、そもそもの問題認識力、そういった個人の応用力にこの手の理論の有効性が大きく依存する点が、多くのビジネスノウハウ本がビジネスマンの「オナニー」で終わってしまう理由の1つでしょう。もちろん理論がプアノウハウであるということもあり得ます。)

本書は恐らく現場で中等教育現場の悲喜こもごもを定点観測して、試行錯誤した結果であり、豊富な事例に裏付けられた本書は人間が絡む領域において抽象化された理論を学ぶことの好例と言えると思います。

もちろん先生にも、子供がいる親にも、はたまた学生時分を思い出して自分が何タイプだったのかを想像するのにも、いろいろなタイプの人がいろいろな読み方ができる本だと思います。

スクールカーストという単語にピンとこない人はライトノベルなどどうでしょう。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』というシリーズはスクールカーストを扱った作品の白眉ですので、副読本としてぜひ。

  

『りはめより100倍恐ろしい』著:木堂椎

「いじ」りは「いじ」めより100倍恐ろしいというタイトルだそうです。
この作品が書かれたときには作者は現役の高校生だったということで、なんとも繊細な言語感覚をもった高校生がいたもんだなぁと思います。口語体で語られる物語がリアル過ぎて、自分がその場にいるような気になって気分が沈んでしまいました。それぐらいのリアリティがある作品ってことなんでしょう。
話の流れからして、結局主人公たちを虐げようとした「強者」が一番悪いのではなく、人が集まって一定以上の空間的、時間的な密度を持った関係が生じると、虐げる、虐げられる構造が自然に出来てしまうということが言いたいのでしょうか?何となくそんな気がします。とすると、そういう関係の向こう側に行くためにはどうしたら良いのかとか考えてしまいました。夏目漱石や吉田兼好のように、厭世するしかないのでしょうか?その点、大人になればある程度所属するコミュニティを選べるのに対して学生は辛いよなぁなどと思ってしまいました。
しかし作中で行われている行為はいじりというよりはいじめの域に入っている気がしてしまうのは俺が弱いからでしょうか?あれは絶対いじめだって!