自分の個人的な経験を一般化するのはどうかと思うのですが,理系の皆さまには歴史にアレルギーを持っておられる方が多いのではないかと思います.自分自身も高校時代,年号の暗記に嫌気がさして歴史をまともに学ぶ気がなかった人間だったのですが,最近私的に再学習をしています.
この記事では,自分が近代史の再学習のために読んだ本を紹介したいと思います.比較的偏っている自覚はあるので,もっと色々な史観の本を読むべきなんでしょうが.ご紹介いただけると幸いです.
驕れる白人と闘うための日本近代史
江戸時代の日本の封建制度は、当時の西洋人が思っていた以上に良くできていたのだ、という本。日本のサービス業が異常にサービスがいいのは江戸時代以来らしい。
驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫) (2008/09/03) 松原 久子 |
逝きし世の面影
上の本と同じく江戸時代の日本社会の完成度の高さを、こちらは当時の来日した外国人の手記などを徹底的に引用して書いている本。ある筋では有名な本らしい。
逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー) (2005/09) 渡辺 京二 |
夜這いの民俗学,性愛論
近代日本社会に特有の人口再生産システム、「夜這い」の実相を実体験を基に示す。客観性がないという批判はありつつも、夜這いという単語に抱きがちな背徳的な印象を覆す。
夜這いの民俗学・夜這いの性愛論 (2004/06/10) 赤松 啓介 |
マクニール世界史
世界史の本の中では比較的読みやすいと言われる本。一応欧米の帝国主義の文脈の中で、日本近代の維新が触れられています。 世界の流れの中での日本をざっと見るにはいいかも。
世界史 下 (中公文庫 マ 10-4) (2008/01) ウィリアム・H. マクニール |
日本語が亡びるときー英語の世紀の中で
日本語のこれからを述べる本なのですが、論は明治時代の知識人層がいかにして西洋の学問を輸入したのか、に立脚しています。現在でも日本語で文学や学問ができるのは、この頃の日本人の非凡な努力あってのことなのです。
日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で (2008/11/05) 水村 美苗 |
再学習を始めて思うのは,歴史,特に近,現代史は実学であるということです.特に日本は,明治維新と太平洋戦争敗戦で二度も国家,文明としての大きな転換点を迎えているわけで,日本の現代は確実にその上に建っているわけです.歳をとるほど,今とこれからを考えるためには過去,すなわち歴史を学ばないとダメだなぁと思うのです.
もうちょっと読んだら太平洋戦争かなぁと思うのですが,祖父が戦争に行ってきた人間なのでかなんとなく抵抗感があるのですよね.どこかに良い本はないかしら.