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『仕事に効く教養としての「世界史」』著:出口治明

割と(とても?)有名なネット生命保険会社の会長さんが、タイトルの通り外国の会社との商談だったり海外出張だったりの時に役に立つような世界史の知識を書いた本です。専門家ではないけど、よく勉強して頭の中が整理されている人の頭の中身を、テーマに沿って書いていくとこんな感じになるかなという本。

全10章構成で、内容的には

  1. 日本史と世界史の不可分性
  2. 歴史の発祥、中国について
  3. 宗教がなぜ生まれたのか?
  4. 中国という国を理解する鍵
  5. キリスト教
  6. ヨーロッパの大国(イングランド、フランス、ドイツ)の成り立ち
  7. 交易の重要性
  8. 遊牧民とヨーロッパ
  9. 人工国家、アメリカと共和制フランス
  10. アヘン戦争を軸に西洋文明が文明戦争の覇権を握るまで

こんな感じ。あとは前書きと、割と著者の啓発的なにおいの強い終章がついています。

個人的には読んでいてティーンエイジャーの頃のかすかな記憶が呼び覚まされるような感じ。とはいえ相変わらず人や王朝の名前は頭に入りません。自然環境の変化だったり、人間の一般的な心理だったり、そういうところから一般性や合理性のある歴史の法則性を見いだしているところがあり、その辺りは比較的楽しく読めました。個人的に歴史を勉強している動機はこの辺りなので、著者は私の先輩に当たるのかもしれませんね。

専門家が書いた本ではありませんが、一応書く際に内容のチェックはしているでしょうし、嘘は書いていないでしょう。手っ取り早く世界史の主要なトピックをさらってしまって、歴史理解の背骨を作るのにはいい本なのではないでしょうか?「世の中のあらましについてのザクッとした理解=教養」と仮定するならば本書は正しく「歴史の教養」の本だと思います。