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『放浪の天才数学者エルデシュ』著:ポール・ホフマン

原題は『The Man Who Loved Only Numbers(ただ数のみを愛した男)』。相当な奇人だったようですが、タイトルに反して子どもにも非常に優しく、自分なりに周囲への気遣いを忘れない人だったそうです。
定住地をもたず、世界中の数学者のもとをトランク一つで渡り歩き、83歳でこの世を去るまでに1500もの論文を書いたと言われる天才数学者ポール・エルデシュの伝記です。この人の凄いところは研究結果を他人と分かち合うことを厭わなかったことで、「エルデシュ数」と呼ばれる数があるそうです。エルデシュと共著を書いた人はエルデシュ数1、エルデシュ数1の人と共同研究した人は2という具合に決定されるそうですが、そもそもそのような数が考えられていること自体がこの人の偉大さというか異常さを表していると言っていいでしょう。
とにかく奇矯で、社会の中で「普通に」生きていくことは難しいだろうと思われるような人ですが、僕には迷い無く、ただ一つのことに自分の生命と人生のすべてを使っているエルデシュの生き方がとても美しく、そしてうらやましくも思えました。
ほんの十年ほど前になくなったそうで、自分が生きている時代にこんな偉大な人がいたのだということに非常に驚きました。そしてどう考えても数学に関する部分以外は非常に付き合いづらそうなエルデシュのことを優しく見守り、彼を支えた周囲の人々の心の広さに感じ入りました。

放浪の天才数学者エルデシュ 放浪の天才数学者エルデシュ
(2000/03)
ポール ホフマン

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