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『わたし史上最高のおしゃれになる!』著:小林直子

洋服の着方を指南する本は、世の中に数あります。あまり洋服のことを考えてこなかった初心者向けの本というと、かつては『脱オタクファッションガイド』とか、最近だと『服を着るならこんな風に』とかでしょうか?それらの本も読みましたが、個人的には、本書はそんな服飾指南書の決定版だと思う一冊です。もちろん前者2冊が不要というわけではなく、前者2冊の内容よりも抽象的で応用性が広く、その分自分の頭で考えることや試行錯誤を必要とするやり方が書かれているため、前者2冊のような具体的な指示が書いてある本を読んでいくつか買い物をしてコーディネートをしてみてから、さらに学んでみたい人向けかもしれません。

特徴として

  • 他の誰でもなく「あなた」は自分をどうしたいのか、主体的に決めて、自分でその責任を取るという考え方に立っていること(おしゃれとタイトルにあるにも関わらず、着るものに頓着しないことすら自由であると言ってのける)
  • 「ワードローブを構築・運用する(どういうものを買って、持って、使って、手入れして、捨てるか)」という思想に立っていること
  • いくつかの原則から演繹的に方法論を構築・説明していること
  • 「おしゃれになる」ことは人生の目的ではなく、手段であると考えていること

が挙げられると思います。

著者が長い時間を掛けて構築してきたというだけあって、論の展開が大変理路整然としています。著者は女性であり、女性のワードローブ構築が中心に取り扱われていますが、男性のことも多少書かれていますし、本書に述べられている方法論は男性にも応用が利くものだと思います。すぐに効果が出るものではなく、ある程度時間を掛けて試行錯誤することで、自分の能力を高める、という方法論だと思います(外山滋比古の「思考の整理学」、ヤングの「アイデアのつくり方」、梅棹忠夫の「知的生産の技術」、名著と呼ばれる指南書は皆、習得に試行錯誤と長い時間を要するものです。)

本書で2大原則として取り扱われているものに

  • 「3色ルールを守る(小物を含めて全身の衣服に使う色を3色以内にとどめる)」
  • 「リレーションを作る(色、デザイン、品物の由来などで身につけるものの間に関係性を持たせる)」

というものがあるのですが(詳しくは読んで下さい)、これが正しいということを前提とすると、男性のスーツスタイルが比較的見栄えよいと言われる理由が理解できるのですよね。そもそもスーツ、というかテーラードジャケットがそもそも男性的な上半身の逆三角形を強調するので、かっこよく見えやすい衣装ではありますが、それに加えて

  • 全身の色が「ジャケットとスラックス」、「シャツ」、「ネクタイ」の3色構成になり(靴、ベルト、鞄を含めると4色になるのかな?)
  • 靴、ベルト、鞄の色といった革小物の色を揃えると3つの間にリレーションができる

と、原則を守ったスーツスタイルは、著者の言う2大原則に確かに沿っているのです。

生地の名前やファッション用語が説明なしにガンガン出てきますので、初級者向けというわけではありませんが、どこでどんなものを買ったらいいかは分かっているのだが、もう一歩垢抜けたい、とか、既にたくさん洋服を持っているけど、イマイチしっくりこないことが多い、といった人に特にオススメの一冊です。