『遙か凍土のカナン5 この国のかたち』著:芝村裕吏 挿画:しずまよしのり

本ブログで定期的に紹介しているノンフィクションファンタジー?の第5巻です。

いよいよ国の場所が決まり、基本的に国民集めの本巻。しかし、ヒロインのオレーナの様子がどうもおかしい…という話。この話、最初にクロパトキン将軍が出てきたので、確かに実在の人物が登場する余地はあったわけですけど、本巻の最初と最後に出てきた人物については思わず「え!?」っと思ってしまいました。本来ならクロパトキンが出てきた時点でニヤリとするべきなんでしょうが、それは私が物を知らないだけですね。

良造たちはそれぞれ数百キロから数千キロの距離を行ったり来たりです。最初のうちは馬やらなんやらでゆっくり動いていたわけですが、バイクやら鉄道やら車やらを使ってすごいスピードで東奔西走します。物語が加速するのにつれて、登場人物の移動速度も加速しているのはやっぱり意図的に構成されているんでしょうか?

マージナル・オペレーションの世界と地続きであることは、以前の巻で明言されていたのか記憶が定かではないですが、現実世界ときわめて近い世界でありつつ、かつオリジナルの登場人物が世界に挿入されていて、実在した人たちが彼ら彼女らと関係することにより現実世界にもいる人たちの振るまいが少し変わっていってその結果、現代に近いマジオペの世界も現実に近いようでちょっと違う、という理屈になっているみたいですね。最初に書いたノンフィクションファンタジーとでも言うべきでしょうか?

まぁなんというか、良造とオレーナの新婚生活も描かれているわけですが、お互いに足りない部分を補い合っていて良い夫婦ですね。2人の文化的な齟齬も徐々に調停されつつあるのが見ていてほほえましい。オレーナの「機嫌悪いの?おっぱい見る?」的な振る舞いにはちょっとニヤッとしてしまいました。
新婚ほやほやの時にそんなこと嫁さんから言われたら、男は機嫌直さざるをえんでしょうね。

終盤で物語は急転直下、さてどうなるやらという話ですが、次巻は半年後だそうで。先は長いのか短いのか。なんにしろあと2巻で完結だそうです。

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タグ:芝村裕吏

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