『誰がアパレルを殺すのか』著:杉原淳一、染原睦美

地方で百貨店が多数閉店したり、どこの服屋に行っても同じようなものしか売ってないような気がしたり、そういった「最近なんか元気がない」アパレル業界の現状分析と、業界の定石にとらわれない新しいビジネスの動きについて書いている本。

戦後日本の「衣」にまつわる慣習から掘り起こして現状に至っていることを丁寧に書いているため、大変わかりやすい。業界の分業体制にとらわれて全員で沈んでいく状況や、粗製濫造の自転車操業、働く人、特に若い人の使い捨てをやったせいで敬遠されつつあるあたり、日本のSI業界や出版業界(高給取りでクリエイティブなので人気なのかもしれませんが)等、思い当たる業界は多数あり、アパレル業界がそれらに先んじて焼け野原になったんだなぁというのが、全くアパレルを知らない人間にも理解できます。

シェアリングサービスやフリマアプリといった新しい(2018年現在だと当たり前に使われているものになりつつあるように思いますが)も紹介されており、そっちは書きぶりもあるのでしょうが、なんとなく元気が出る気がします。

苦境も、焼け野原に芽吹いた芽も、2010年代半ばから後半にかけてのアパレル業界の状況について基礎知識をつけるのに非常に好適な一冊だと思います。

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