オタクと非オタの男女が集まってサークルを作り、メンバーの1人である加藤恵をヒロインにしたギャルゲーを作るお話。第1作を無事に作り終えた後に作画担当の澤村・スペンサー・英梨々と霞ヶ丘詩羽が引き抜かれてサークルのメンバーが入れ替わり、昨日の友は今日の敵状態、特に恵と英梨々の間に溝ができてしまい……その溝は果たして埋まるんでしょうか?
本作自体が男主人公1人に個性の異なるヒロイン複数というギャルゲー構造にもかかわらず、ヒロイン同士の関係が細やかなのが相変わらず読んでいて楽しい。主人公は、へたれだなんだと言われ続けているにもかかわらず、なんだかんだいって過去のトラウマや微妙な人間関係に踏み込んで、なんとかしようとするガッツがあって、それは時に「うざい」とか思われるのかもしれないけれど、ちゃんと物語の主人公になる。登場人物は個性的でキャラクター間の相性はあるが、基本的には善に属する人であって、なんだかんだ相手のことを認めていて、尊重している。創作に取り組んでいるという一生懸命さを共有しているからなんでしょうか?まぁとはいっても、おそらくは創作が恵と英梨々の溝の原因にもなっているわけで難しいもんだなぁとは思いますが……。
表紙にあるように英梨々のお当番回な感じ。彼女の案外嫌なところというか、聖人君子にあらざる部分が明らかになるんですけど、個人的にはそれがとても好みです。そういう一面をもっている方がキャラクターとして厚みが出るというか、キャラクターに血が通っている感じがして魅力が増します。とにかく女の子を可愛く描く本作において、ちっともその可愛さを損なっていないと個人的には思います。
しかし、10年前から飽きもせず田中ロミオと丸戸史明、奈須きのこを読み続けてるのには宿痾を感じます。私もすっかりオッサンになってしまいましたねぇ。消費量は減ったけど、なんだかんだ一生オタクコンテンツとつきあい続けるんだろうなぁと……。