動機
昨年1年浮気したりしましたが、僕の決めた自転車は道楽号=PanasonicのORC-08です。そんな道楽号に前からやってみたかったのがベンドフォークからストレートフォークへの交換です(見た目がCo○nagoっぽいのカッコいいなぁというミーハーな動機)。直接伺ったことはないんですが、某Am○ndaの千葉さんによれば、「フロントフォークは走ると止まるを決める自転車の命、特に剛性が極めて重要」ということなので、これを鵜呑みにして色々と物色してみると、Wound Upというアメリカのメーカーのものが、カーボン、ストレート、高剛性と要求を満たしそうな予感。しかもオフセットが48ミリまで選べる。特にフォークオフセット(フォークコラム延長線からフォークが何ミリ前に出ているか)やヘッド角は操舵性に強い影響があるので適当には選べないらしい……ということなので研究してみました。
フォークオフセットとトレールの関係
自転車(というか二輪車全般?)のフロントセクションにはトレールという数値が非常に重要ということのようです。下図にあるようにフレームを横から見て、前輪の車軸から垂直に下ろした線とヘッドチューブの延長線が地面で作る寸法の差分だそうで、短いほど運動性や操舵性が上がり(ハンドルの切れ方がピーキーになり)長いほどその逆で直進安定性が良くなるということのよう。オフセットを長くするとトレールは短くなり、短くすると長くなる(ヘッド角にも依る)と言うことのようです。アンカーによれば、ロードバイク向けのトレールの理想値は55-58mm、許容値は50-64mm。たかだか1.4cmの長さの違いで乗り味がかなり変わるという事みたいです。
ジオメトリーの研究
道楽号の実家であるPanasonicサイクルテックのサイト を参考に(道楽号はサイズ500)、bicycle calculator でパラメータをいじってジオメトリーを再現すると大体こんな感じ。フォークの寸法は公開されていないので、後述の通りパナソニックサイクルテックに問い合わせました。
トレールは66mm。小さいサイズはフロントセンターを確保しつつ、ヘッド角やフォークオフセット等で工夫が必要なため、設計が難しいという話を聞きますが、割と長めのトレイル。しかしこういう風にジオメトリーをじっくり眺めてみると、PanasonicのPOS、サイズは10mm単位で指定できるけどフォークはオフセット46mmの1種類という事みたいですね。この点でいうと、フォークのオフセットを3種類くらい用意しているアンカーの方がきめ細かいことをやっていると言えそうです。
さて、もう少し突っ込んで研究してみたいと思います。フォークの肩下寸法の違いによるヘッドアングルの変化も考えておきたいところです。パナソニックサイクルテックに問い合わせてみると、このクロモリフォークの肩下寸法はブレーキ穴-ホイールアクスルで計り、357.5mmということです。ブレーキ取り付け穴中心から下玉押し取り付け部までの長さは約8mmなので、レース-ホイールアクスル間高さは365.5mm、他方、Wound Up Road XフォークのBrake Heightは354mm、Race Height368mmとあります。フォークの仮想ブレード長さは三平方の定理で計算できるとして、これを入力してみると…
オフセットを48mmにしてみるとヘッド角が0.3度立ち、トレールが62mmとアンカー的許容値の方向に行くようです。
オフセットを45mmにしてみるとヘッド角が0.1度寝て、トレールが68mmと伸びます。
不確定要素はありますが、アンカーが言うところのロードバイク的な味付けにするなら48mmが良さそうです。
余談
しかしORC-08(現在の型番だとFRCC02)、サイズ500だとBBドロップ(ペダリングの安定性を決めると言われる)が64mmなんですね。長期間乗ったことのあるアンカーのRA5が70mmという事なので6mmも高い。ORC-08から感じた、「腰が高い感じ」はほぼホリゾンタルフレームであるということよりも、ここから来てるんでしょうかね
結論
フォークの交換というアイデアから色々ジオメトリーについても勉強することができました。次の自転車を買うのがいつになるか分かりませんが、それを選ぶ際にも、より踏み込んだ選び方ができそうです。