『富士山さんは思春期 4』 著:オジロマコト

以前,思春期マンガ特集でも感想を書いた作品です.身長が180センチある女の子富士山さんと,対照的に身長160センチの男の子上場くんが付き合っている様子を描いた作品で,中学生同士の甘酸っぱいというか,青臭い恋愛模様が描かれる作品です.

さて,本作も4巻まで来ましたが,いよいよタイトルのごとく「富士山さんは思春期」という感じになってきました.前巻まではどちらかというと男の子の上場君が思春期の青い衝動に突き動かされて積極的に洗濯機の中からパンツ引っ張りだしてみたり,透けたブラウスから除くブラジャーの線にハァハァしたりとまさに「上場君は思春期」状態だったんですが,本巻は富士山さんが色々赤面しまくりで,すっかり上場くんにお熱な感じが伝わってきます.体の距離もグッと近づき,あぁ,世の中のイチャイチャしてるカップルってのは,こういうプロセスを経てるんだなと納得する次第.

本巻で富士山さんがこうなった理由を考えてみると,本巻の主軸になっている放課後デート,その原因になった富士山さんの故障,のときに上場君が男気を見せたというところがあるのかなと(第3巻参照).富士山さんは多分それでグッと来ちゃったんではと.上場君,スケベなんだけど,富士山さんに対して思いやりがあってとても優しいのですよ.体は小さいけど器は大きいというか,こいつはいい男になるな…という感じがします.あと,バカに見えて何気にテストの成績もいいし,部活こそ真面目にやってないけど,上場君,実はすげぇ奴なんじゃないか?

「フルメタルパニック!」という作品の「女神の来日(温泉編)」というエピソードで,登場人物の一人クルツ・ウェーバーが行ったセリフ,「大人になったらエッチなことはたっくさーんできるけどな,同じクラスのあの子と,目が遭ってドキドキ……なんてのは学生のときしかできねーんだぞ?」を体現している作品と言えましょう.本作に描かれているような甘酸っぱい思春期を送ってきている諸兄も,カップル爆発しろ,と思っている灰色の青春を送ってきている諸兄も,中学生の昔を思い出して懐かしめる,良作です.次巻も期待.

 

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