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『違国日記』著:ヤマシタトモコ

交通事故で急死した姉の子ども田汲朝(たくみあさ)を引き取る少女小説作家の女性高代槙生(こうだいまきお)が主人公のお話。

槙生は不器用だけど非常に優しい人柄で、言葉を使って他人、特に年若い少女達に物事を伝える仕事をしているだけあって、繊細な感性で物事を捉え、考え抜いた自分の信念に従っている感じが大変好ましい。朝を引き取るときも、

と言い放ちます。こういう考え方は槙生とお姉さんとの関係性から来るものでもあるわけですが、決して良い関係とは言えなかった姉の子どもである朝に対して、こうして誠実に限界を提示しつつも気の毒な目に遭った未成年者への優しさを見せられるのは大変好ましく思えました(親が親なら……と考えてもおかしくないと思うんですよね。)。

この他元恋人の男性や、学生時代からの友人なんかも出てくるんですが、その人達も、その人達との関係性も、お互いに理解と思い遣りがあってとても素敵です。

なんとなく冷たくて綺麗な川の底みたいな感じで実に読んでいて心地良い作品です。現在2巻まで出ていますが、続きが楽しみです。