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『神々の山嶺 1〜5』 原作:夢枕獏 画:谷口ジロー

エベレストに初めて登頂したジョージ・マロリー卿が残したカメラと、そこに残されているはずの初登頂の証拠のネガフィルムをめぐって繰り広げられる濃厚な人間ドラマ。そこに、深町と羽生という山に魅せられた二人の男の人生が絡み合う。

原作を夢枕獏、作画を谷口ジローで分担しており、人物から登山器具、果ては国内海外の山の風景まで、全五巻に渡って濃厚なストーリーと緻密な作画が物語を彩る。個人的には今回初めて読んだが昔から有名な作品で、インターネット上で数々のコラージュが作られているが、それを抜きにして正統派の登山マンガとして面白い作品だった。

登山をテーマにしたマンガをいくつか読んだことがあるが、大体同様の展開になるというか、やはりとにかく己の身体一つで頂を目指す登山に魅せられた人というのは孤独になり、それが故に己と向き合い、周囲から孤立し……時々山に殉ずる……という展開になりがちな気がする。とはいえ、どれを読んでも割と面白くなってしまうのは登山が人類普遍のロマンだからだろうか?しかしさすがは『孤独のグルメ』の谷口ジロー、山の上のテントの中で食べているビスケットやインスタントスープが実に美味そうなのだ。

『神々の山嶺』 第5巻 P.25より引用