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『走ることについて語るときに僕が語ること』著:村上春樹

村上春樹のエッセイ。村上春樹というと、親の蔵書の「ノルウェイの森」を読んだことがあるくらいで、(思春期の自分にとっては完全にスケベ小説だった)特にフォローしているわけではない作家である。基本的にあまのじゃくなのでベストセラー作家の本って買いたくなくなるのだ。要するに、「僕が買わなくても誰かが買うでしょ?」という気持ちになる。じゃあなんでこの本を買ったのかというと、旅行に持って行くつもりだった本を家に忘れてしまい、空港で売っていた本で目を引いたのがこれだったという顛末である。

……というくらい村上春樹に対する関心が薄い人間なので、村上春樹がかなり本格的な市民ランナーだったというのを本書で初めて知った。しかも結構ランナー歴が長いらしい。あと、地味に大学を卒業してしばらく飲食店やっていたとか、若くして結婚しているとか、世界中いろんな街に住んでいるとか、彼の人となりを知ることが出来るという意味で村上春樹初心者向けといえるかもしれない、作家の人となりを知ることが必要かどうかを置いておいて。エッセイとはいえ、するすると入ってくるそうめんみたいな文章はやはり村上春樹である。作家らしく色々ものを考えながら走っていて、それらが大作家らしく上手く文章になっているなと感心した。とまれ、彼の健康に対するスタンスには共感するところがある。彼ほどの作家と比べると自分のやっていることなど月とスッポンであろうが。

なんだかよく分からないがこの記事を書いていると知らぬ間に村上春樹という単語を連呼しており、これが村上春樹という作家の魔力なのかもしれないと思いつつ、そろそろ村上春樹という文字列がゲシュタルト崩壊してきたので、この辺で筆を置きたいと思う。