私、地元は大阪でして、大阪というと、粉もん、お笑い、東京にムダに対抗意識を持っている、みたいなイメージがあるとは思いますが、かつては日本中の年貢米の集積地であり、関東大震災後には「大大阪時代」と呼ばれるような経済の中心地として華やかだった時期がありました。そんな時代に建てられた大丸百貨店心斎橋店の本館が立て替えされるということで、見に行って、写真を撮ってきました。
この建物、1922年に、ウィリアム・ヴォーリズの設計で建てられたものでした。下の写真にあるように、今ならいくら積んでも作ることはできないであろう貴重な日本の近代建築でした。
同行者がおり、他に見物している人や同行者に気を遣ったせいで系統だって写真を撮ってこなかったんですが、簡単にご紹介できればと。これで死ぬほど後悔している辺りが、「失われる建築物」の惜しさですよねぇ……。そこにあればいつでも見に行けるのに……。
御堂筋側の入り口。ニューヨークの建物と言われても分かりませんね。
見上げるとこんな感じ。しゅごい。
入り口をくぐって内扉。「おす」の文字が日本の建物だなという感じ。フォントもステキ。
天井。
入ると正面には壮麗な天井が。化粧品売り場です。
1階のエレベーターホール。すごい。
エレベーターホールのファサード?(建築よくしらん)
ちょっと露出がマシなものをどうぞ。
ちなみに2階〜4階のエレベーターホールは古い感じのデザインになっています。日本の建物とは思えない。
心斎橋筋商店街(だっけ?)側の出口。ステンドグラス。
有名なテラコッタのクジャク。
夏に撮った外観。完全にシカゴかどこかの建物だよねぇと。
これは私的な法人の資産で商売に使っている建物であり、地震や台風などで建物を長く使い続けることが困難な我が国ではありますが、とはいえこれら近代建築も日本の歴史の証人であります。個人的な趣味だろうと言われても、これも外国人がわざわざ日本に来る理由になると思うのですよね。所詮は土建業者の利益代表者でしかない、我が国の土木行政の残念さの犠牲になったと言えなくもありますまい。これでまたひとつ、大阪のイメージが東京のメディアが作ったステレオタイプに近づくのかなぁと一人ため息をつくのでした。せめて、外装と内装ができる限り保存された形で立て替えられることを祈るばかりです。