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『大砲とスタンプ (1) (2) (3)』 著:速水螺旋人

「艦これ」を始めて以来、読む機会が増えたミリタリー作品の一作。特にその中でも裏方である兵站、要するに補給部隊を取り扱った作品。

最前線の補給部隊をとりあつかっているのでバンバン人は死ぬわ、血は出るわという感じなのだけど、絵柄と作風も相まって陰惨な感じが全くしません。というか、補給物資を巡って切った貼ったするので、多分物資>モブキャラの命、くらいの扱いのような気もします。要するにこれはコメディの一種なんですね(帯にもMilitary法螺漫画と書いてあるし)。戦場になんて行ったことがないので良く分からないんですが、これも戦場の一側面なのかもしれません。

キャラクターもみんな魅力的なのですが、個人的には兵站軍兵長のアーネチカが魅力的だと思いました。尻の軽いいわゆるビッチなわけですが、あっけらかんと人生を楽しんでいる感じが実に素晴らしい。「紙の兵隊」たる兵站軍の兵卒であるにもかかわらず文盲という設定ですが、主人公のマルチナから字を習い、自分の名前を書けるようになったときの嬉しそうな顔がちょっとしたギャップを感じさせてなかなかに良いです。

兵器描写はいわゆる宮崎駿的というか、ラピュタ、ナウシカ辺りが好きならまぁハマるだろうという感じ。あとは、その他こまごまとした軍用品へのこだわりに作者の愛を感じます。私自身、まんまと影響を受けて、紅茶用にアンティークのグラスホルダーが欲しくなってきました。

何かと書き込みが細かいので何度も読み返す楽しみがありそう。絵の密度が濃いのでできればB5版くらいで読みたい作品です。