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『戦争調査会 幻の政府文書を読み解く』著:井上寿一

なんだか最近第二次世界大戦の本ばかり読んでいる。なんとなく世の中にきな臭いものを感じるのかなんなのか。本書はタイトルの通り、「戦争調査会」という終戦直後に日本政府関係者自身によって日中・太平洋戦争の開戦と敗戦理由を調査した委員会の調査報告書について解説を加えるという体裁の本である。

「一億総懺悔」という言葉の元に思考停止するのではなく、当時の日本人の手で、可能な限り客観的に負けた戦争を多面的に分析しようとしていたのだというのは、教科書レベルの近代史知識しかなかった自分にとっては新鮮だった。GHQによって戦争調査会のプロジェクトは未完のままに終わってしまったという史実は実に残念である。

結局なんであんな勝ち目のない戦争を始めたのか、どうして良いところで辞められなかったのかということに、「これだ」という単独でスッキリした理由なんてないのだろう、という「おわりに」に述べられていることが、本書の一番の収穫であったように思う。というわけなので、これからも折に触れて色々な本を読んで勉強したいものである。