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『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』 著:吉川祐介

千葉県の北東部の、公共交通機関のネットワークから遠く離れた地域には、1970年代頃から開発された分譲地がたくさんあるという。その多くには分譲された区画数を大きく下回る住宅が建っていて大半は更地や原野になっているそうだ。

空き家問題や限界集落など、人口が絶賛減少中&都市圏への極端な人口集中が進む日本には不動産に絡む様々な問題が存在する。本書はその中でも都市圏の超郊外に存在するある種の「分譲地」が抱える問題を取り上げたものである。本書ではタイトルにある限界ニュータウンとか、限界分譲地とかいった単語で呼ばれるこの「分譲地」がどういった経緯で生み出され、どういった現状にあり、どのような問題を抱えているのかを丁寧な実地調査と精緻な分析に基づいて紹介し、一定の解決策を見いだす良書である。詳しくは本書に譲るが、土地の値段が急上昇していた時代に原野商法と似て非なる経緯で生まれ、バブル崩壊後の地価の急落で不良債権化して流動性が低下し、今に至るというもののようである。まさに昭和平成の負の遺産という感じ。

著者はYouTubeやブログもやっており、僕がこの著者の書く文章や語り口が好きなのは、根っこの部分では当時の土地バブルに踊らされた人々のことを馬鹿にしていないことである。前時代的で、現在からすると奇妙に見える社会的な事象や遺物には、その時代なりの合理性や経緯というものが存在するはずで、著者の書く文章やYouTubeでの語り口は、それに対する想像力が感じられるのだ。是非この本やYouTubeが当たって、奥さんとお二人の生活が少し華やかなものになると良いなぁと思っている(実際当たって複数回重版しているようだが、YouTubeの方が儲かるらしい。文筆業は結構厳しい)。

本書を読んで思ったのだが、資産や不動産、会社などの法人をキチンと精算する人というのはそれだけで立派である。