「パンツじゃないから恥ずかしくないもん」のキャッチフレーズで世間の一部の耳目をさらい,昨今の萌えミリタリーブームの先駆けとなったのであろうストライクウィチーズの外伝小説です.とりあえず手に入れた2巻までの感想をば.
本編よりさかのぼること〜年,本編で主人公グループとなった統合戦闘航空団(各国のエースパイロットを集めて作った国籍混成部隊)の先駆けとなった「スオムスいらん子中隊」が主人公となっています.要するに女の子が集まってキャッキャしてるだけなんでしょ?と言われるかもしれませんが,まぁおおむねその通りでございますという感じ.とはいえ個人的にはこれは「ネウロイとの戦争」を描いているという点において,世界観を広げる正統な外伝だなと思いました.本編だと個別のネウロイと戦ってはいるんだけど,全体としてネウロイVS人類の製品がどうなっているのか?というマクロな構造はあまり前面に出ていなかったように思います.しかし本作では,人類というかウィッチとネウロイの一進一退の戦況があり,その中でいらん子中隊がどう戦っていくのか,という話の構造になっています.この点にまずなるほどと思わされました.地上型のネウロイに対して航空歩兵では火力や鉄量が足りないという描写も印象的.2巻には本編では出てこなかった陸戦型ウィッチもチラッと出てきます.
とはいえ,本作の作者はかのルイズ@ゼロの使い魔を生み出したヤマグチノボル先生,出てくる美少女達も可愛くカッコよく描かれています.最初は各国の問題児が集められたという意味の「いらん子」を体現したまさに烏合の衆というにふさわしい状態だったのですが,様々な強敵ネウロイの出現に対して考えを改め,部隊の結束を固め,成長していきます.このあたりはまさに王道.後は割と濃厚な百合…というかレズビアン描写でしょうか?約一名が風紀を乱しまくります.
本編で作品世界に興味を持ったら,世界観を広げる意味でオススメの一作です.特に左脳で作品を理解する人間にはうってつけでしょう.ついでに最近出た画集+設定資料集の『WORLD WITCHES』辺りも併用すればかなり世界観が広がるのではないでしょうか?