『ロードバイク本音のホイール論』著:田中良忠、吉本司

シマノでホイールの設計をやっていて、現在は独立されてSacraCyclingというメーカーでリーズナブルなカーボンホイールを販売している田中良忠さんが、自身のホイールについての考え方を書いた本。あと、吉本さんという方がタイヤやらホイールやらについて語っています。

なにせ

シマノのホイールの頑丈さは、自信を持って断言できます。というのも、耐久試験規格を作ったのは私だからです。日本人が走行疲労だけでシマノのホイールを壊すのは、まず不可能です。

なんて書いてある。パワーワードというネットスラングがありますが、本書においてはこれがまさにパワーワードでしょう。そういえば、クロスバイクについてきた手組みホイールはスポークの首が飛んだんですが、シマノのR500はそれ以上に使ったにもかかわらず壊れなかったなぁという実体験を思い出しました。

とりあえず、「速く走るにはどういうホイールを選ぶべきか」という基準で論が展開されていて、速さを競わないロングライド指向の一般のライダーも、速く走れれば早く遠くまで行けるので、速く走れて損はないのですよね。乗り心地や過剛性という問題に対しては、タイヤや、ペダルといった小さくて安い部品で調整しましょうという言い方がされていますし。全体として、工学(特に機械工学)である程度断言できる部分(細かい数式なんかは全然入っていませんが)と、フィーリングで人によって異なる部分をキチンと分けて書かれていて誠実な印象があります。

田中さんの主張によると、とりあえずホイールは「リム」。「剛性=ヤング率」が重要で、その点アルミリムは価格とブレーキ時の熱容量以外でカーボンリムに対して優れるところはなし。予算が許せば、ミドルーハイハイトのカーボンホイールが良い、ということのようです。また、リム重量を追求するのは良いが、限度がある、とも。ホイールの本でありつつタイヤの重要性が説かれており、クリンチャーが良くなっていると言いつつ、チューブラーも否定していません。チューブラー、たしかに乗り心地いいんですよね。ちなみに、タイヤの空気圧も重要だそうです(これは今度やってみよう)。カップアンドコーンベアリングはクイックの締め具合調整が結構難しいらしく、シールドベアリング使用のハブの方が無難とのこと。

Amazonのレビューでは毀誉褒貶ありますが、とにかくサクッと読めますので、自転車のホイールに興味のある方は一読してみてはいかがでしょうか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください