『Landreaall (27)』著:おがきちか

半年に一度のお楽しみ。おがきちか先生の大作ファンタジーLandreaallの27巻です。

26巻は「さあ反撃開始だ」という感じでしたが、本巻はDXたちとクエンティン、ユージェニの戦いの決着までが描かれます(シーンが王城に飛んだり、砂漠に飛んだりしますが)。大変長く、数年にわたりこのエピソードをやっていますが、アトルニアの王城にたまった様々な澱を一気に押し流すような、そんな新しい流れの湧き出し口を見ているようです。3巻の火竜との決戦に匹敵するくらいDXもイオンも、そしてディアも満身創痍になるわけですが、伏線の回収と戦いの盛り上がりとで主人公たちもかくやというような読後感。ファン冥利に尽きます。ということで、継続して読んでおられた方で、ここ最近読んでなかったという方は是非お読みください、面白いですよ。ということで。

個人的に良かったなぁと思うのが、ディアの成長でしょうか。初登場の時は誰だか分からない貴婦人として登場し、どうもキーパーソンっぽいが、何を考えているのかも、どんな立場でどんな能力を持っているのかも分からないキャラクターでした。それが実はファレルと出会った頃のリゲインのように、自分の身に余る秘密を腹に呑んでいる(その一端が本巻で語られますが)キャラクターだったとここ最近分かってきていたわけです。でも、イオンやDXが腹に抱えた秘密ごと、友人になってくれた(オズモおじさんとリゲイン、あるいはファレルとリゲインの関係の相似形なのかな。)。そのことが結局彼女を支えて、DXの呪いを解き、クエンティンに勝つきっかけになった。努力・友情・勝利です(ジャンプかよ)。現実の人間関係もかくありたいだなぁと思うような、人生の定規になるようなそんな物語ですね、Landreaall。あと、友達がいなかったという点で、DXとディアって似たもの同士なんですよね、実は。

DXたちとクエンティンたちの戦いは決着したわけですけど、大老たちは?リゲインたちは?オズモおじさんたちは?ということで、まだまだエピソード全体は終わっていません。そして、個人的には、革命の真実の真実が明らかになることでアトルニア王国がどうなるのか、最近ご無沙汰の竜胆は?ディアがDXの竜創に干渉したときに、滅びた部族の宝物だった竜の化石になんか影響を与えていそうだったのが気になります。続きが楽しみです。

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